■水を物質の変化映す「鏡」ととらえ/光当て、生命システム解明
私たちの体の7割を占め、体内で働くモノを包みこんでつないでいるのが「水」だ。これがわずかな環境変化に反応し、物質とエネルギーの変化を映す「鏡」となっている機能に着目。水にさまざまな光を当てることで生命とシステムの情報を得る、新たな学問が神戸で生まれた。20年前に神戸大学特命教授のツェンコヴァ・ルミアナさん(69)が提唱した「アクアフォトミクス」で、現在では医療、食品、農業、環境などの分野で活用されている。今年5月に神戸で国際学会が開かれるのを前に、ツェンコヴァさんに水と人の関わり方などについて聞いた。(辻本一好)
-まず、アクアフォトミクスについて教えてください。
「アクアは水、フォトは光、オミックスは全ての学問を表します。つまりアクアフォトミクスは『水と光の相互作用にかかわる全て』を意味します。このうち『オミックス』という言葉が広く使われるようになったのは、遺伝子の『ゲノミクス』という言葉が提唱されたのがきっかけです」