■「安全を本物に」と願って/事実を見ているか、問い続ける

 乗客106人と運転士が亡くなり、493人が重軽傷(神戸地検調べ)を負った尼崎JR脱線事故から20年の今年、ノンフィクション作家の柳田邦男さん(89)=東京都=がこれまでの取材を基に「それでも人生にYesと言うために」(文芸春秋)を出版した。事故に巻き込まれ、心身に深い傷を負った負傷者、妻や子を突然失った遺族から長期間にわたって話を聞くとともに、事故発生の「なぜ?」に迫る。NHK記者を経て半世紀の間、ノンフィクションと向き合い続ける著者が「集大成」と位置付ける1冊を手掛かりに、脱線事故のこと、そして自身のこれまでの歩みについて語ってもらった。(中島摩子)

 -尼崎の脱線事故から20年です。