■入賞や経歴、職業に直結/その先の音楽家の人生、応援を

 クラシック音楽の著名な国際コンクールでアジア系演奏家の存在感が増している。本選に進んだり、上位に入賞したりする演奏家の数が圧倒的に増えた。クラシック音楽の伝統の中で育った西洋人に交じって、文化が異なる東洋人が評価されるのは喜ばしい。一方で東洋人は、西洋人にはない「自由」な演奏が期待できそうなのに、入賞を目指すことでかえって魅力が損なわれないか、気になったりしている。若い演奏家はコンクールにどう向き合い、音楽ファンはどう接すればいいのか。コンクールについての研究で知られ、ピアノの演奏家でもある神戸女学院大音楽学部准教授の崎谷明弘さん(37)に話を聞いた。(吉本晃司)

 -昨年秋、ショパン国際ピアノ・コンクールで桑原志織さんが4位に入賞しました。本選でのアジア系演奏家の多さと、西洋人の少なさに驚きました。

 「そもそも、クラシック音楽を勉強して、国際コンクールの場に出てくるヨーロッパの人が非常に減っているという現実があります。15年くらい前、私の通っていたフランスのパリ音楽院もやはり東洋人の割合は非常に多かった。東洋、特に日本はコンクールがたくさんあるため、ピアノ指導などの需要があり、音楽に関係する仕事も多い。小さい頃から習いごとの延長線上にコンクールがあって、みんな競って入賞を目指します。賞レースが好きな国民性もあります。音楽を職業として、仕事としてどうやるのか、出口が見えやすい面があります。韓国もちょっと前まではめちゃくちゃ(コンクールに)強かったですね。今、音楽教育に力を入れているなと思うのは、中国です。天津に音楽学校ができて英才教育が行われていて、大学(音楽院)に入る前の年齢の人たちを教える課程が設置されています」