■環境の変化とチャレンジの積み重ね/謎解く鍵が「古細菌」

 地球の生命はどう進化してきたのか。生物学の飛躍的な発展により、その解明が急速に進んでいる。謎を解く鍵として注目されているのが、約40億年前に生まれたとされる「古細菌」だ。人間を含む真核生物の祖先であり、現在も私たちの腸内や生ごみのバイオガス発酵で活躍している。生物学史を書き換えた古細菌をめぐるストーリーを紹介する「われら古細菌の末裔(まつえい)」(共立出版)の著者、京都大学名誉教授の二井(ふたい)一禎さん(78)に、地球環境と微生物の共生と進化の歴史について聞いた。(辻本一好)

 -二井さんの専門は森林微生物生態学です。古細菌について執筆することになったきっかけは?

 「私が長年研究の対象としてきたのは、松枯れの原因として知られるマツノザイセンチュウで、繁殖には菌類、つまりカビの仲間が関わっています。大学の講義ではカビだけでなくバクテリア(細菌)のことも教えるので、私たちも最新の微生物研究を勉強するんですが、これがやればやるほど面白くて。高等といわれる動物や植物と、バクテリアがどう関係するんだろうと思いながら調べる中で(米国の微生物学者)カール・ウーズさんらが発表した論文に出合ったのが、すべての始まりです」

 「1977年発表の論文に収められた表にはメタン生成菌(古細菌)、大腸菌(バクテリア)、酵母(カビ)、植物、動物までの13種類を並べ、生物学的な近さが示されていました。高等生物から細菌までを同じ土俵に乗せて比較する、当時としては前代未聞の大挑戦でした」