■愛の名のもとに人権侵害/優生思想の存在、常に自問を

 障害や病気を理由に人の体にメスを入れ、生殖能力を奪う「断種」。旧優生保護法(1948~96年)施行下の日本で吹き荒れ、被害は不妊手術で約2万5千人、人工妊娠中絶で5万9千人に達する。兵庫でも県を中心に地域ぐるみで推進された。長く暗い歴史と対照的に、負の遺産を総括する試みはまだ始まったばかりだ。最高裁の違憲判決を受け、国会の検証会議が発足したのが2025年10月。私たちの社会は「戦後最大の人権侵害」を直視できているのだろうか。検証会議で座長を務める立命館大学の松原洋子特任教授(68)に話を聞いた。(那谷享平)

-まず、検証会議の取り組みについて教えてください。

 「24年7月の最高裁判決を踏まえて成立した補償法に基づき、国会の委託を受けて問題の調査、検証に当たる第三者機関です。25年10月に第1回の会合を開きました。被害の実態の調査だけでなく、被害が起きた原因や再発防止のために講ずべき措置まで検証、検討します。三つの分科会があり、マスキング処理なしでの自治体資料の収集や被害者へのヒアリングなどを進めています。29年3月までに報告書を出す予定です」