トッププロへの階段を一気に駆け上がった。今季の女子ゴルフツアーで史上7人目のアマチュア優勝を達成した古江彩佳。滝川第二高卒業1年目ながら、プロ転向後も立て続けに優勝争いを演じ、確かな実力を証明した。153センチの小さな体に計り知れない可能性を秘め、来季から本格的にツアーを転戦する19歳。幼いころから掲げてきた「将来の夢は賞金女王」の言葉に現実味が帯びる。
(聞き手・松本大輔)
-10月の富士通レディースでアマチュア優勝。
「(11月の)プロテストへの最終調整の試合という感覚でした。優勝してのプロ転向はそれほど考えていなかったけど、最終日の前半に(1位を)とらえた時、『ここで優勝するしかない』と思いました。(一発勝負の)プロテストには、どうなるか分からない怖さがあったから。その時期に調子が落ちるかもしれない。だから『ここしかない』と」
-優勝を決めた後、涙を流した。
「最後のパットを打つまで泣くとは思っていなかったんです。迷惑を掛けてきた両親のことを思ったのかな…。ゴルフって親がいないとできない。(会場への)送り迎えがあって、お金もすごいかかる。プロになれば親が少しでも楽になると思っていました」
-幼いころからも父芳浩さんがコーチ。
「父は全くゴルフをしていませんでした。私が3歳の時に興味を持ってから、ルールを勉強し始めたようです。だから、ゴルフ歴は私の方が長い(笑)。小5のころからは毎晩練習しました。父はあまり何も言いません。ミスを繰り返していると『気付かへんのか?』とだけ言われる。自分で考える力をつけたかったのだと思います。そのおかげでラウンド中でも(ミスの原因を)探れるようになった」
-今季は夏場以降、安定感が増した。
「4日間の試合になると、1日は崩れることが多かった。8月の試合の時に、仲良くしている成田美寿々さんのお父さんに『体力なんじゃない? 美寿々は毎日走ってるよ』と言われた。それから毎日20分は走るようにしました。高校時代に比べてトレーニングが少なく体力は落ちていた。走るようになって少し安定してきました」
-メンタルの変化は。
「今までは1位に立つと、安心してしまう自分がいた。でも優勝した試合は『もっと、もっと』という気持ちになれた。プロテストを控えていたから、自分にプレッシャーもかけられた。その経験で(プロ転向後に上位争いを演じた)エリエールレディースやツアー選手権でも気持ちが弱まることはなかった」
-来季への期待は大きい。
「周りの人から2勝目が大事と言われています。まずは2勝目を目指したい。(東京五輪出場?)今の私の(世界)ランク(85位)だと、来年6月までの試合で優勝か上位を続けないといけない。難しいかな…。でも東京でのオリンピック。出たい気持ちはあります」
【ふるえ・あやか】2000年生まれ。神戸市長田区出身。長田中3年時に全国中学校選手権で優勝。滝川第二高に進み、17年にナショナルチーム入り。18年アジア大会で個人4位。高校卒業後の10月、ツアー優勝を飾り、プロに転向した。歌手浜崎あゆみさんの大ファンで「年末のカウントダウンコンサートが楽しみ」。両親と3人家族。19歳。