
10月26日のプロ野球ドラフト会議で、オリックスから3位指名を受けた明石商高の来田涼斗外野手。地元神戸ゆかりの球団からの指名は、必然だったのかもしれない。俊足強打のリードオフマンを担当したのは、元ソフトボール女子日本代表で2008年北京五輪金メダリストの乾絵美スカウト=兵庫県加古川市出身。6年前、当時小学6年だった来田少年を指導しており「打席に入ると何かしてくれそうな雰囲気や素晴らしいスイングは昔から変わらない。(指名がかなったのは)神様からのプレゼント」と喜ぶ。
乾スカウトは現役引退翌年の10年、オリックスの球団職員に。ジュニアチームや野球教室の指導で競技の普及活動に取り組んできた。今年1月に日本球界初の女性スカウトに就任。関西各地を飛び回り、初めてメインで担当した選手が他でもない来田外野手だ。
14年に「オリックスジュニア」のメンバーとしてプレーした来田外野手を、コーチとして指導に当たったのが乾スカウトだった。来田外野手はドラフト会議翌日、ジュニアチーム時代に乾スカウトからプレゼントされたオリックスのユニホームを着て喜んだことを明かし、6年越しにつながった良縁に「今回また違う形でお世話になって縁を感じる」と笑顔で話す。
ドラフト会議当日、京セラドームの事務所のテレビで指名の行方を見守った乾スカウトは、大本命の指名がかなった瞬間を「絶叫しました。ただただうれしくて」と興奮気味に振り返る。「一つの動きでお客さんを引きつけられる魅力がある。来田涼斗という一人の人として、誰からも憧れられ、好かれる選手になって」と感慨深げに目を細めた。
(長江優咲)
