先場所は影を潜めた貴景勝の代名詞が戻ってきた。低い立ち合いから阿武咲を突き起こすと、一歩も引かず一方的に押し出した。中学時代からのライバルが「終始低く、がんがん内に入ってきた」と圧倒されるほどの突き押しで3度目のかど番初日を飾った。
兵庫県出身で108年ぶり2人目の最高位を目指した初場所は左足首の負傷で途中休場。初の綱とりは初日から4連敗で遠のき「ただ単に実力がなかったから負けた。もう一回頑張って、稽古を積むしかない」と鍛え方を変えた。体重は昨年秋場所前の測定から17キロ減の166キロ。この日も、間合いを詰めて押し込むなど動きは軽快だった。
1年ぶりの地元開催はコロナ禍で東京に変更。「やっぱりご当所でもあるから。3月は大阪っていう気持ちがあります」と本音をのぞかせながら「土俵に上がったら、東京も大阪もあんまり関係ない。自分のやるべきことだけやる」。まずはかど番突破に集中する。
(尾藤央一)









