ミドル
誰もが知る高級住宅地、芦屋のリバーサイドにある小粋なバー「リトロボ」。副業で稼いでいそう…とやっかむ私の前に、システムエンジニア(SE)の酒井英徳さん(45)がにこやかに現れた。えっ、隣はあの「キング・オブ・ポップ」では…。「あはは、彼は大阪育ちのマイケル・ジャクトンこと住田雅士さん」。ポーズを決める男の隣で、イベント企画からITベンチャーまで「会社にはない出会いが面白い」と熱く語る。
-このバーは。
毎年春に開催される芦屋市内の食べ歩きイベント「芦屋バル」の会場の一つ。3年前からボランティアで実行委員会に加わり、運営委員長をしています。ジャクトンさんには昨年、バルと同時開催の音楽ライブに出演してもらい、それ以来応援してるんです。
-本業とかなり落差が。
大学院で電子情報工学を専攻し、関西電力のSEに。2年前から子会社で、家庭向け電力の販売促進キャンペーンを企画しています。芦屋バルは、地元の役に立ちたいと考えたから。
-役回りは。
協賛金の依頼など資金集めやコミュニティーFMでの広報宣伝。それと、運営を巡ってメンバー間の議論が白熱したときに、「まあまあ調整しましょうよ」と、とりなす役。少人数で事業を作り上げるのは、分業制の大企業と違ったやりがいがありますね。お店の経営者やデザイナー、映画監督さんなど、サラリーマンの枠を越えて得られる人たちとの出会いは刺激があります。
-本業一本では満足できない?
入社当時は、定年まで安泰だと思ってましたよ。でも、29歳で中国陜西省出身の女性と国際結婚して、考え方が変わりました。中国の若い世代の事業意欲や、IT分野で一旗揚げようとする人たちの勉強量はものすごい。「俺も何かやらなければ」と、社内ベンチャー制度に応募し、シャンプーや飲料などを使った分だけ自動で注文する家庭用のシステムを提案しました。
-人脈も広がる。
兼業届を出して、日中友好団体の役員になりました。仕事の合間に神戸大大学院にも通い、2011年には経営学修士(MBA)を取得して「W修士」になりました。今は大学の先生たちと情報交換しながら、取引記録をネットワーク上で管理する先端技術「ブロックチェーン」を活用し、地方の活性化に貢献するベンチャー企業の設立に関わっています。
-副業から得られることは。
異業種、異分野の人たちとの垣根が低くなり、新しいことに挑戦する気持ちをもらえています。中国の知人に、廃材回収から身を起こし、数十億円を稼ぐようになった経営者がいます。7、8年も会っていなかったのに、「苦労していたころからの縁だから」と観光に招待してくれました。自分も、目先の利害や上下関係に縛られず、人と人とのつながりを大事にしたい。ついては、神戸新聞さんも一緒に何かしませんか?
1974年 富山市に生まれる
1999年 富山大大学院工学研究科修了
同 年 関西電力のシステムエンジニアに
2004年 国際結婚を機に、中国と交流
2011年 神戸大MBA修了
2016年 芦屋バル実行委員会に参加
2017年 オプテージ出向
記事・内田尚典
写真・中西幸大
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