リブちゃん(オス・3歳)は、マンションの立体駐車場の地下に落ちて鳴き叫んでいた。2019年8月のことだった。東京都に住む大井さんは、夕方出かけようとした時にリブちゃんの声を聞いた。
「ただならぬ声だったので捜索したのですが、途中で鳴きやんでしまったので断念しました。深夜2時に帰宅するとまた鳴き声が聞こえたので、今度は慎重にマンション中を探しました。すると、なんと駐車場の地下にいたのです」
真夏だったので、蒸し暑い中半日以上地下にいたことになる。大井さんは心配でたまらなかった。すぐにマンションの管理センターに連絡したが、電話に出たオペレーターは、「そのうち勝手に脱出するでしょう」とつれなかった。大井さんは、「子猫だと思うので自力では出られないと思います。このままでは死んでしまうかもしれません」と粘った。その甲斐あって、渋々ではあるが、駐車場の整備士を点検のためという名目で呼んでもらえることになったという。
■「子猫を探す母猫の声」で捕獲成功
駐車場に来てくれた整備士は、なんとか子猫を救い出そうと、夜勤の猫好きの同僚にも相談してくれた。YouTubeに「子猫を探す母猫の声」という動画があるので、それを流してみたらと教えてもらい、実際に流してみると、リブくんは、地下に停めてあった車の部品の隙間から顔を出した。
「整備士さんが素早く潜り込んでリブを捕まえ、私が後ろから洗濯ネットを差し出し、1時間も一緒に試行錯誤したので息もぴったり、連携プレーで保護することができました」
リブくんはずいぶん汚れていたので、大井さんはすぐにシャンプーした。いつの間にか朝の5時過ぎになっていた。リブくんは不安だったのか鳴き続け、大井さんと2匹の先住猫は一睡もできなかったという。
■トライアルに失敗して戻ってきた、これはチャンスだ!
当時、大井さんは実家で暮らしていたのだが、先住猫がいたのでリブくんの里親を探すことになった。すっかり懐いてくれた時に里親希望者が現れたので、泣く泣くトライアルに出した。
「でも、トライアルに失敗したんです。『これはもう、うちの子にするしかない!』と、家族を説得。我が家で迎えることになりました。でも、先住猫と折り合いがつかず、私はリブを連れて、当時の彼(現在は夫)と同棲することになりました」
猫と初めて暮らした彼氏は、「猫って家中のものを引っ掻いてボロボロにするでしょ、嫌だなあ」と言っていたが、リブちゃんはそういうことは一切しないので、いい意味で裏切られた。今ではすっかり猫にメロメロなんだという。
リブちゃんと一緒に彼氏の家に転がり込んだ大井さん。それがきっかけになって結婚した。リブちゃんにはとても感謝しているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)
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