生後1カ月半、保護当初のしらすちゃん(画像提供:硝子さん)
生後1カ月半、保護当初のしらすちゃん(画像提供:硝子さん)

今から6年前、ひとりぼっちで鳴いていたキジトラの女の子「しらす」ちゃん。当時、生後わずか1カ月半ほどでした。飼い主のXユーザー・硝子さん(@Purin20191)は、しらすちゃんとの出会いを今も鮮明に覚えているといいます。

ある日、飼い主さんは自宅マンションのゴミ捨て場で小さな子猫がうずくまっているのを目にし、思わず立ち止まりました。

「翌日は台風の予報が出ていたため、ほおっておけず、保護しました」

そのまま外にいれば命の危険もあったであろうしらすちゃん。飼い主さんは家へ連れ帰ったあと、ケアをしながら「里親さんを探さなければ」と考えていましたが、その心境に少しずつ変化が訪れたといいます。

「あまりにもかわいらしくて…いつのまにか里親さんを探すことはやめて、我が家で迎え入れていました」

ただ、不安もあったそうです。飼い主さんはそれまで猫と暮らしたことがなかったため、どのように育てるか、必要なものは何か、わからないことがたくさんありました。

「幸い、親友に助けてもらうことができました。しらすという名前も、その親友が付けてくれたんです」

こうして、しらすちゃんは飼い主さんの家で猫生を歩むことになりました。

「しらすを保護した日、夜中にはひどい雨が降り始めました。あのまま外にいたら…そう考えると、保護することができて本当に良かったです」

■夜鳴きや分離不安症ーーひとつずつ乗り越えて

しらすちゃんを迎え入れたものの、家での暮らしに慣れるまでには紆余曲折があったといいます。

「当初は夜鳴きがやみませんでした。まだとても小さいのに母猫と離れて、不安だったのだと思います。とにかく根気よく見守る日々が続きました」

飼い主さんのあたたかなサポートを受けて、しらすちゃんは少しずつ落ち着いていきました。一緒に布団で眠るようになったり、仕事を終えて帰宅するとリビングのドア前で出迎えてくれるようにーーしらすちゃんと飼い主さんのあいだに信頼関係が築かれていったのです。

一方、コロナ禍で在宅ワークだったためずっと一緒にいましたが、出勤する日が増えるようになると、しらすちゃんの様子に異変が起こったといいます。

「しらすが分離不安症になってしまったんです。どうしたものかと悩んでいたとき、結婚が決まったのです。新たにハチワレ猫のめかぶ、キジトラのうるめを迎え入れると、しらすはまた穏やかに過ごせるようになりました」

ふたりの妹猫、そして飼い主さん夫婦に囲まれ、しらすちゃんはにぎやかな日々を送るようになったのです。

■新米猫も赤ちゃんもーー優しく見守るしらすちゃん

しらすちゃんは現在6歳。小さなころの愛らしいあどけなさ、きゅるんとした瞳はそのままに、美しい成猫へと成長し、家族に笑顔をもたらす存在になりました。

「ちょっぴり内弁慶な子です。子猫時代に他の猫と接する機会がなかったこともあってか、猫は苦手。それでも、あとから迎えためかぶ、うるめのことを受け入れてくれました。そんなしらすの懐の広さに感動したのを覚えています」

そして、飼い主さん夫婦に赤ちゃんが誕生すると、子守りのような振る舞いを見せるように。頼もしいお姉ちゃんとして家族を見守ってくれるようになりました。

「こんなにも毎日“かわいい”と“大好き”があふれる存在がいるなんて、本当に幸せです。しらすと一緒にたくさんのことを体験し、たくさんの感情に寄り添ってもらいました。私の子どもであり、親友であり、家族以上の家族です。これからも一緒にたくさん幸せになろうね」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)