
モニターで透視装置の画像を見ながらカテーテル治療を続ける医師ら=姫路市西庄甲、県立姫路循環器病センター(同センター提供)
■負担重い開胸手術
心臓弁膜症で最も多いのが、全身に血液を送り出す出口にあたる大動脈弁が開きにくくなる「大動脈弁狭窄症(きょうさくしょう)」。心臓弁膜症治療に詳しい兵庫県立姫路循環器病センター(姫路市)によると、大動脈弁狭窄症の開胸手術は、胸を20~25センチ切開し、心臓を露出させる。人工心肺を使って心臓を止め、大動脈を切って硬くなった弁を取り除き、人工弁を縫い付ける。手術は平均3~4時間かかり、入院も2週間以上は必要。開胸手術は症例実績が圧倒的に多く、今も比較的若い患者にはこの手法が採られるが、体への負担が極めて重く、高齢者や過去に心臓手術の経験がある人には難しいという課題があった。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。
- 心臓弁膜症のカテーテル手術
2020/9/5~2020/9/5
日本人の死因で、がんに次いで多い心疾患。中でも近年増加傾向が顕著なのが、「心臓弁膜症」だ。高齢化に伴い、組織が硬くなるなどして弁の開閉に問題が生じ、心不全などに至る患者が増えているという。少し前までは胸を切開して心臓を一時的に止める「開胸手術」しかなく、負担の重さから断念する高齢者も多かった。しかしカテーテル(柔らかく細い管)を使った新しい手法だと、心臓を止める必要はなく短時間で終わるため、特に高齢者では主流になりつつある治療法だ。(霍見真一郎)

