液状化の街 芦屋浜と尼崎・築地
シーサイドタウンは一九六九年に兵庫県企業庁が造成し、約一万七千人が暮らす。整然とした街並み、高層の住宅群が特徴ある景観を生み出している。ごみを真空輸送するパイプラインや地区防災システムなどを備え、「二十一世紀のモデル都市」とうたわれた。
かたや江戸時代に埋め立てられた築地。狭い路地を囲むように文化住宅が並び、約二千四百人が肩を寄せ合うように暮らす。工場の地下水くみ上げで地盤は一、二メートル沈下。はきだされる煙が多くの公害病患者を生んだ。周囲を国道43号線と川に囲まれ、住民は「陸の孤島」と自嘲(じちょう)する。
一瞬の揺れが引き起こした液状化は、対照的な二つの埋め立て地の人々の暮らしをズタズタに切り裂いた。復興に向け動き出した住民。だが行政と法律の壁が立ちはだかり、復旧さえままならない。震災からまもなく九カ月。初めて経験する大規模な液状化を克服する道のりは、どこまで進んだのか。