連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

緊急避難の要介護高齢者 福祉施設は延長要請
  • 印刷

 震災で家を失うなどして兵庫県内の老人ホームに緊急避難した介護が必要な高齢者約二千五百人のうち、少なくとも千人が施設にとどまっていることが、兵庫県老人福祉施設連盟(老施連)などの調べで明らかになった。このうち、厚生省が定員を超えて特別に入所を認めた「定員外入所」は約四百人に上っている。特例措置の期限は九六年度末に迫っており、同連盟は十四日までに兵庫県に対し、「定員外の解消は難しく、柔軟な対応を国に求めてほしい」と要望した。(網 麻子)

 震災で多くの被災者が避難所などに逃れたが、厚生省は保護が必要と認めた要介護の高齢者に、特別養護老人ホームで生活できる緊急一時入所(ショートステイ)の対応を取った。被災地周辺や姫路、但馬など県内の施設には二千五百七十一人が入ったほか、県外にも約五百人があっせんされた。

 その後、自宅に帰ったり、仮設住宅に入居するなど、徐々に緊急一時入所者は減少。老人ホームを出ることができない人には、正式入所などの措置を取った。

 こうした高齢者の動向について、同連盟は神戸市を除く県内の特別養護、養護老人ホームにアンケート調査を実施。神戸市内は同市が調べた。

 両者の調査を合わせると、正式入所、ショートステイを合わせ、県内では約千人の被災者が老人ホームにいると推定される。

 このうち、定員外入所は神戸市で百六十七人(六月現在)、その他地域で二百八十一人(八月現在)と計四百四十八人に上った。

 厚生省はこうした定員外入所の特例措置を一年延長したが、その期限は来年三月末まで。県は各自治体に定員外入所の解消を求めている。しかし、施設の定員に空きが出た場合、地元の待機者を優先させるなどの事情から、定員外入所の解消は進んでいない。

 加古川市の特別養護老人ホーム「せいりょう園」でも現在、神戸市の被災者九人を定員外で受け入れている。東灘区の被災女性(84)は「前の町の近くにホームができるなら帰りたい」といい、同園の渋谷哲施設長は「措置権を持つ神戸市が神戸市内のホームへの入所などの対応をするべき」としながらも、「特例が切れても無理に出て行ってもらうつもりはない。施設運営に支障のない限り、国は定員外入所に柔軟に対応してほしい」と主張する。

 こうした実態から、同連盟は特例措置の柔軟な対応を求める文書を県に提出。「サービスの低下を招いている面もあり、定員外入所を解消する努力は必要だが、簡単に解消するのは難しい。九七年度以降も特例延長してほしい」としている。

 神戸市は震災前の特別養護老人ホームの定員二千百二十人分を九七年度までに八百三十人増やし二千九百五十人にする計画を立て、県も三百三十人分を緊急整備する計画だが、「緊急整備が追いつかない現状を見ると、特例を延長すべき」という福祉関係者の声は強い。

1996/9/15
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 40%

  • 33℃
  • ---℃
  • 50%

  • 34℃
  • ---℃
  • 20%

  • 34℃
  • ---℃
  • 40%

お知らせ