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兵庫県の二〇〇七年度予算案で、阪神・淡路大震災の復興関連の新規事業がゼロになることが、十三日分かった。一方で、超高齢化社会や成熟社会への対応を先取りしてきた復興の取り組みを、県内全域に広げるため、「三カ年推進方策」を策定。復興基金を含めた六百五十六億五千五百万円、百九十事業を盛り込む。
井戸敏三知事は今回の予算案を「震災復興期を終えた新たな兵庫のスタート」と位置付けている。
復興関連の新規事業がゼロとなるのは初めてだが、復興住宅の高齢者自立支援など従来事業は継続する。復興基金事業では、最終的に絞り込んだ「高齢者の自立支援」と「まちのにぎわいづくり」を三カ年推進方策の中で拡充するという。
県復興推進課は「都市の空洞化や不況など、震災以外の要因も大きくなり、被災地の課題解決は、一般施策と連携する中で進めていく時期になった」と話す。
三カ年推進方策は、残された課題への対応や復興の在り方を議論してきた県復興フォローアップ委員会(室崎益輝座長)の提言を基に、震災十年から五年後の区切りに向けて策定した。
それによると、被災地の課題への対応のほか、復興過程で生まれた先導的取り組みの定着、発展▽防災・減災など震災の経験と教訓の継承・発信-として、個別課題の三年間の目標を立てた。
先導的な取り組みとしては、復興住宅などで高齢者の健康相談に応じる「まちの保健室」を〇七年度は県内で百二十五カ所増やし、五百二十カ所にする。〇九年度まで、市町や交番などと連携し定着を図っていく。
震災や兵庫国体を機に盛り上がったボランティア活動を広げようと「のじぎくボランタリーネット」(仮称)を設け、募集情報などを提供する。
県復興推進課は「被災地の課題はすぐ完全に解決するのは難しい。三年が過ぎても一般施策として取り組んでいきたい」としている。(森 信弘)
2007/2/13