東遊園地を訪ねたのは「阪神淡路大震災1・17のつどい」から数日後。大勢の人たちが祈りをささげた場所に、その数字の跡はくっきりと残っていた。
つどいは今年、過去最多の約6万6千人が訪れ、「1995 1.17」の形に並べた竹筒のろうそくに灯をともし、亡き家族や友をしのんだ。
1998年、避難所にもなった旧小学校で始めたつどいは翌年、会場をこの場所に移した。実行委員長の中島正義さん(71)は「鎮魂の思いも強かったが、『明かりをともして頑張ろう。希望をもとう』という気持ちだった」と振り返る。
震災の時、私は入社2年目で、それ以来、悲しみや憤りに震える人にレンズを向けてきた。今も傷の癒えない人がいる。
中島さんは言う。「つどいは、さまざまな人たちと思いを共にし、後の世代に引き継ぐ場でもあるんです」
数字の跡は、記憶をつなぐ人々の心に刻まれた痕跡に見えた。(藤家 武)
=おわり=
2010/1/29