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高齢化が進む復興住宅。見守りなどが課題=神戸市垂水区名谷町(撮影・笠原次郎)
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高齢化が進む復興住宅。見守りなどが課題=神戸市垂水区名谷町(撮影・笠原次郎)

高齢化が進む復興住宅。見守りなどが課題=神戸市垂水区名谷町(撮影・笠原次郎)

高齢化が進む復興住宅。見守りなどが課題=神戸市垂水区名谷町(撮影・笠原次郎)

 震災被災者の暮らし再建、街や産業の復興を支援してきた「阪神・淡路大震災復興基金」。兵庫県は、基金を活用し、2010年度以降に取り組む23事業を発表した。事業展開はもともと09年度末までの予定だったが、残余金で最長5年の継続が決まった。事業は「高齢者の自立支援」「まちのにぎわいづくり」「伝える・備える」の3本柱。いずれも被災地の残された課題として、対応が求められている分野だ。防災教育の推進など新たな取り組みもある。(岸本達也)

高齢者の自立支援 「ひろば」開設 60カ所に
 高齢化が進む復興住宅で、入居者の見守り活動の拠点として開設された「高齢者自立支援ひろば」事業を継続する。

 ひろば事業は06年度に始まった。ボランティアらが住宅の空き部屋や集会所を活用しながら、その地域の復興住宅に暮らす高齢世帯の見守り、交流などに取り組む。

 09年度からは特に高齢化率の高い住宅に「ひろば」の出先となる「ブランチ」を設置。ブランチは、復興住宅以外の一般公営住宅も対象とした。

 「ひろば」などはこれまでに、神戸、宝塚、淡路など8市で計36カ所開設され、09年度中にさらに6カ所増設される予定。事業継続で、最終的には60カ所にする。

 地域の課題を整理し、ひろばスタッフを指導、相談に乗るアドバイザーも新たに配置する。高齢者向けの講座「いきいき仕事塾」も続ける。

 ガスメーターなどを活用した高齢者の見守りシステムも増設する。

 看護師らが健康や育児の悩み、不安について相談を受ける「まちの保健室」は、01年度に復興住宅の被災者向けに始まったが、04年度からは県の一般事業として全県で展開している。

 公営復興住宅に暮らす65歳以上の割合(高齢化率)は、48・2%(09年11月)と、一般の県営住宅の倍に達している。住民同士の支え合いが困難となる一方で、問題は多様化。見守り活動やコミュニティーづくりを、いかに地域全体で担っていくかが今後の課題だ。

まちのにぎわいづくり 魅力アップ 後押し
 震災から15年が経過した被災地は、街のにぎわいで格差が生まれている。再開発などの復興事業で活性化につながった地域がある一方、空き店舗が目立つ商店街も多い。

 復興事業の遅れ、人口流出など震災による要因だけでなく、不況や店舗の後継者不足の影響も大きい。人口は、被災地全体で震災前の水準を超えたが、神戸市の西部や淡路島などは今も戻らないまま。大型店の進出で、県内の小売業の売り場面積は拡大したが、商店数は逆に減った。

 基金は、地域の特性に合わせ、街のにぎわいにつながる取り組みを支援する。

 商店街の活性化では、アーケードや休憩所といった共同施設の建設に対する補助に加え、ショーウインドー改装、LED(発光ダイオード)照明の設置など魅力向上策への補助を新設した。出店や開業、コミュニティー活動への支援も続ける。専門家を派遣し、再生プラン策定を支援する事業も新たに展開する。

 住民らが主体となった活性化策を支援する「まちのにぎわいづくり一括助成事業」は、イベント中心の一過性の取り組みに終わらせず、地域が抱える課題の解決につながるように、支援を充実させる。計画から実施まで段階的に補助する仕組みとし、これまで2年で最大1千万円だった補助を、4年で2千万円に拡大する。

伝える・備える 教員を対象に心のケア研修
 震災で、心に傷を受けた児童・生徒を見守った「心のケア担当教員」の配置が09年度末で終わるのを受け、その取り組みを継承するため、災害時の心のケアについて教員研修や研修プログラムの策定を、基金事業として進める。防災教育も推進する。

 震災の経験や教訓を伝える事業、イベントなどに引き続き補助する。

 住宅の耐震改修に対する県などの補助事業で、補助額を基金で上乗せ。「2015年度の住宅耐震化率97%」(県計画)の目標達成を目指す。

2010/2/28
 

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