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「LABI三宮」の入り口。ヤマダ電機と星電社のロゴマークが並ぶ=神戸市中央区三宮町1(撮影・小林良多)
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「LABI三宮」の入り口。ヤマダ電機と星電社のロゴマークが並ぶ=神戸市中央区三宮町1(撮影・小林良多)

「LABI三宮」の入り口。ヤマダ電機と星電社のロゴマークが並ぶ=神戸市中央区三宮町1(撮影・小林良多)

「LABI三宮」の入り口。ヤマダ電機と星電社のロゴマークが並ぶ=神戸市中央区三宮町1(撮影・小林良多)

 神戸・三宮センター街の家電量販最大手ヤマダ電機(群馬県)の「LABI(ラビ)三宮」。看板の右端には「seiden(セイデン)」のロゴがある。

 星電社(神戸市中央区)。1945年、三宮で創業。高度成長期には全国展開し、家電売上高日本一になったこともある老舗だ。兵庫では圧倒的な存在だった。

 「阪神・淡路大震災で一気に弱さが噴き出した。負債を抱えて守りの姿勢になり、時代に合わせた経営ができなくなった」。生え抜きで2006年から社長を務める石井隆(62)が振り返る。

 震災で売上高の4割を占める本店が倒壊。復旧などに約100億円を借り入れた。90年代後半、コジマ(宇都宮市)など関東勢が出店攻勢をかけたが、被災した星電社に激烈な安売り競争に耐える体力はなかった。

 02年に民事再生法を申請。ファンドによる買収などを経て、07年からヤマダの完全子会社に。経営は厳しく、退職金はなく、ボーナスや給与水準も低かったが、ようやく業績が改善してきた。「一度はつぶれたけど、生まれ育ててもらったこの街で生き残りたい。もう一踏ん張りやね」

 「震災破綻」。震災の影響で経営が行き詰まるケースを指す。原因は、社屋倒壊や工場損傷などの直接的被害だけではない。取引先の消失や人口減による購買力の減少など間接的被害も大きい。

 信用調査会社の東京商工リサーチ(東京)によると、阪神・淡路の場合、発生から3年間の震災倒産の件数は314件。「むしろそれ以降、間接被害や借入金がボディーブローのように効いてくる」。被災地経済の実情に詳しい兵庫県立大客員教授の神田栄治(69)=地域経済論=の分析だ。

 県内全体の倒産件数は復興需要がはがれ始めた3年目から一気に増加する。この20年間のピークは2001年。小泉政権が不良債権処理など「痛みを伴う」改革を始めた時代だった。融資引き揚げなどが進み、4年間で約3千社が破綻した。

 被災の傷は、今も後遺症のように企業を苦しめる。先月末、洋菓子のフーケ(神戸市須磨区)が事業を停止した。競争激化による売上高の減少などに加え、震災に伴う借入金の返済が経営を圧迫したという。

 「東日本大震災の被災企業は阪神・淡路の教訓を生かし、今のうちに対策を練らなければならない」。東北の被災企業調査を続ける東北大大学院准教授の西山慎一(39)=金融論=は強調する。

 東日本大震災による関連倒産は3年間で1402件に上る。阪神・淡路の同期間の比較で4・4倍だ。福島第1原発事故の風評被害も多い。

 現在は、国や県の金融支援などで経営をつなぐ企業が多く、復興需要も続いている。西山は「今後、被災地で復興需要がはがれてくると倒産が増える。生き残るためには経営革新や成長へ投資が必要だ」と話す。

=敬称略=

(土井秀人)

2014/11/15
 

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