
切り出したクスノキの木片を蒸留し、樟脳の結晶を取り出す装置。当時、台湾の山中では至る所にあった=台湾・台北市中正区、国立台湾博物館南門園区(撮影・田中宏樹)
搾りかすなのに、木片に顔を近づけると、特有のにおいが鼻をついた。刺激臭ではない。濃厚で、力強さを感じる香り。
「クスノキのチップです。蒸留器で煮詰めて樟脳(しょうのう)を取り出した後だけど、いいにおいが残ってるでしょ」。台湾・台北市中心部にある国立台湾博物館で、樟脳生産の歴史展示を担当する郭元興(31)が笑う。1週間前、中部の山村で観光用にほそぼそと続く樟脳製造所を訪ね、もらい受けたという。
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