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2020年の飛躍を誓う荒井祭里(左)と板橋美波=宝塚市、JSS宝塚(撮影・辰巳直之)
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2020年の飛躍を誓う荒井祭里(左)と板橋美波=宝塚市、JSS宝塚(撮影・辰巳直之)
飛び込み日本代表の合宿で練習する板橋美波(右)と荒井祭里。シンクロ高飛び込みでも東京五輪代表を狙う=金沢プール
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飛び込み日本代表の合宿で練習する板橋美波(右)と荒井祭里。シンクロ高飛び込みでも東京五輪代表を狙う=金沢プール

 東京五輪イヤーの2020年を迎えた今、飛び込み競技が熱い。国内有数の拠点、JSS宝塚(兵庫県宝塚市)では1964年東京大会を経験したレジェンド、馬淵かの子さんらが育てた教え子のうち最大で4人がひのき舞台に立つ可能性がある。大きな飛躍が期待されるのは、既に高飛び込みで五輪代表を決めた荒井祭里(18)と、左脚骨折を経て2大会連続参戦を期す板橋美波(19)。日本が誇る10代女子コンビが競技の妙味や新年の誓いを語った。(聞き手・藤村有希子)

■陸上トレーニングが7割

 -たった2秒。その演技のために日々どんな練習をしているのか。

 板橋 飛び込みって陸上トレーニングの方が大事。「陸上7割、プール3割」って(JSS宝塚の馬淵)崇英コーチはいつも言う。トランポリン、宙返りなど体操選手みたいなこともする。

 荒井 肋木(ろくぼく)にぶら下がりながら脚を顔まで上げるのがしんどい。後ろ向きに飛ぶときも前向きでもおなかの力を使うから、飛び込み選手は腹筋が強くなる。

 -高飛び込みの台の高さは10メートル。恐ろしい。

 板橋 初めて飛んだのは小学5年。他にも選手がいて「1人5秒以内に飛ばんと10本飛ばす」とコーチに言われて。

 荒井 私も5年生の頃。めっちゃ怖くて、飛べるわけないと。そしたらコーチに「そっちに上っていくよ」と言われ、これは落とされると思って自分から落ちた。

 -そこからたくましく成長した2人の武器は。

 板橋 身長151センチだけれど大きく見せられる。指先、つま先をきれいに伸ばし、ひねり技なら脚をしっかり閉じる。技の中でも5253B(後ろ宙返り2回半1回半ひねりえび型)は一番きれいに見せる自信がある。

 荒井 私はノースプラッシュ(しぶきを最小限に抑える入水)や演技の切れ。真っすぐに飛び出せたら、真っすぐ落ちる。意識するのはつま先と脚の閉め。形がすごく締まったまま真下に落ちると、手のひらだけに圧が来て、水にスムーズに入る。体に何も当たってない感じで、痛みもない。

 板橋 飛び出しが良くないと入水も絶対に決まらない。ここがすべて。

■声掛け変え、息ぴたり

 -2人はシンクロ高飛び込みのパートナーでもある。どうやって息を合わせる?

 板橋 どちらかが「いきまーす、せーの、いち、にっ」と声を掛ける。元々私が言ってたけれど、11月から荒井さんに。

 荒井 中国合宿で「リズムが合ってないね」となって、変えたら良くなった。声掛けする方が軸になるんで、筋力のある板橋さんがジャンプで私に合わせてくれる。

 板橋 私が声掛けすると、その時によって言うのが早かったり遅かったりしちゃうけれど、荒井さんの声掛けは一定。2人の体形は正反対で、私は筋肉がついてて、荒井さんは細い。でも飛んだらすごく合って見えるのが飛び込みの面白さ。

 -相手の良さは。

 板橋 荒井さんはマイペースだけれど自分の考えを持ってる。試合では切り替えがすごくて、予選で失敗しても準決勝で絶対に修正してくる。

 荒井 板橋さんはいつも時間ぴったり。合宿でもみんな最初は10分前行動をしていても、だんだんルーズになる。飛び込みは性格が出る。しゃきっとしてないと、思い切った演技ができない。

■完成度、安定性上げる

 -いよいよ勝負の年。シンクロ高飛び込みでは4月のワールドカップ(W杯)東京大会で五輪出場権を狙う。

 荒井 最近2人の動きがすごく合ってきて。まだ板橋さんの脚が完治してない状態でこれなんで、今後もっとうまくなる。自分もついていかないと。W杯も五輪もしっかりメダルを取れるように頑張りたい。五輪では個人種目も完成度、安定性を上げてメダルを取りたい。

 -板橋さんは個人、シンクロ共に、W杯で五輪切符を狙う。

 板橋 左脚の手術で練習できなかった期間に基礎の動きが良くなって、そしたらうまく飛べることが分かってきた。荒井さんに負けない入水技術を身に付け、進化したい。けがでつらいことがたくさんあったけれど、乗り越えたらさらに強くなれる。「板橋はリオだけじゃなかった。やっぱり強い」と言われるようにひたすら努力します。

【あらい・まつり】 2001年1月18日生まれ、伊丹市出身。荻野小1年で飛び込みを始め、荒牧中を経て甲子園高2年の17年、世界選手権女子シンクロ高飛び込みで10位。19年世界選手権高飛び込みで9位に入り、全競技を通じて日本女子初の東京五輪代表に内定。名前の由来は「周りに人が集まるような存在に」。JSS宝塚、武庫川女大1年。18歳。

【いたはし・みなみ】 2000年1月28日生まれ、宝塚市出身。宝塚小3年で飛び込みを始め、御殿山中を経て、甲子園高2年の16年にリオデジャネイロ五輪女子高飛び込みで8位。17年世界選手権では世界の女子で自身しかできない前宙返り4回半抱え型(109C)を披露して7位。ジャニーズ事務所のアイドルが好き。JSS宝塚、甲子園大2年。19歳。

     ◇     ◇

■記者コラム/東京でそろい踏み心待ち

 2013年9月10日付の神戸新聞朝刊。20年夏季五輪の東京開催決定を伝える記事がある。JSS宝塚の選手らが沸き立つ写真に、当時12歳の荒井も納まっていた。あれから6年余り。馬淵かの子コーチは「あの子が本当に五輪に出るなんて。昔は勘が鋭すぎて、怖がりで。指導に難儀したもの」と成長を喜ぶ。

 一方、リオデジャネイロ五輪の女子高飛び込みで日本勢80年ぶりの8位入賞を果たした板橋は昨年苦しんだ。疲労骨折した左すねを春に手術し、気の遠くなるようなリハビリ。仲間の試合を見ても「飛びたいと思えなかった」。どん底から心身を立て直してきた。

 そんな2人がタッグを組む。昨年11月のグランプリ2大会では、シンクロ高飛び込みでいずれも銀メダル。うちシンガポール大会は自己ベストの309・66点で、さらなる向上を予感させた。

 板橋のツイッターにはしばしば、荒井らとの和気あいあいとした写真が並ぶ。過酷な練習も笑顔で乗り切る選手たち。13歳のホープ玉井陸斗や、既に6度目の五輪出場を決めた39歳寺内健(ミキハウス)を含め、JSS宝塚で鍛える飛び込み4人衆が東京にそろい踏みするのが待ち遠しい。(藤村有希子)

     ◇     ◇

<東京五輪飛び込み日本代表の選考基準> 個人の代表枠は各種目2。今後、2月の国内選考会を経て4月のワールドカップ(W杯)東京大会で18位以内に入れば代表に決まる。女子高飛び込みは既に荒井が決まっており、板橋は残り1枠を狙う。シンクロ種目は国内選考会の優勝を経て出場するW杯の結果をもとに、日本水連選手選考委員会が総合判断する。

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