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関西ラグビー協会の会長に就任した萩本光威さん=神戸市東灘区(撮影・風斗雅博)
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関西ラグビー協会の会長に就任した萩本光威さん=神戸市東灘区(撮影・風斗雅博)
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 昨秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は大成功だった。入場券は99・3%も売れ、日本が初の8強入りを決めたスコットランド戦の瞬間最高視聴率は50%を超えた。大会後のトップリーグ(TL)にも大勢の観客が詰めかけた。新型コロナウイルスの感染拡大で水を差されはしたものの、長く人気低迷に悩んできた日本ラグビー界にとって、この好機を逃す手はない。今年4月、関西ラグビー協会の会長に就任した萩本光威さん(61)は、現役時代は神戸製鋼で7年連続日本一に貢献し、日本代表監督などを歴任した。豊富な経験を競技の普及などにどう生かすか。まずはW杯の総括から聞いた。(伊丹昭史)

■W杯日本大会は、社会現象とも呼べる熱狂ぶりでした。

 「大会自体は盛り上がっても、観客の入り具合は試合ごとに大きく差が出ると思っていた。でも、開幕したら各会場ともほぼ満遍なく入っていた。すごい盛り上がりだった」

 「日本で開催して良かったと思うのは、世界レベルのプレーなどを見て、多くの人が競技の面白さや迫力を感じ取れたことだ。もう一つ、来日した各国のサポーターが『敵味方なく一つになれる』というラグビーの良さを伝えてくれたことも大きい。試合前からビールを飲んで敵のサポーターとも交流し、スタンドでもチームでエリアを分けることなく、入り乱れて座る。わがチームを応援し、相手チームのいいプレーにも拍手を送り、試合後は健闘をたたえ合う。そんな人たちが試合だけでなく観光でも各地を回り、いい交流が生まれたと思う」

     ◇     ◇

■日本は大躍進しました。専門家の目から見ても強くなりましたか。

 「成長していますね。前回(2015年)のW杯は日本人選手が守備で3人並ぶと、そこを抜かれていた。でも今はタックル力が上がり、同じ状況でも止められるようになった。攻撃でも外国出身選手だけでなく、日本人が突進しても相手を崩せる。バランスが良くなってきた。TLのレベルが上がっているし、日本代表は選手を年間200日ぐらい拘束して、プレーを一つ一つ突き詰めて強化してきた。そりゃ、うまくなりますよね」

 「それができたのは前回のW杯で3勝を挙げ、結果を残したから。TLのチームからすれば、主力選手を長く拘束された上、けがをされて結果も出なかったら、選手を日本代表に出したくなくなる。でも、15年W杯でエディー・ジョーンズ(前日本代表ヘッドコーチ)が選手強化に取り組んだ結果、南アフリカなどを破って熱狂を生み、日本代表のステータスを上げた。今回は日本開催という要素も加わってTLチームが一つになり、ここまで協力できたんだと思う」

     ◇     ◇

■とはいえ、前回のW杯後は人気が尻すぼみになってしまいました。今回は大会後のTLが開幕から盛況でした。反省は生かせていますか。

 「前回は企業向けチケットに力を入れていた影響で一般向けが少なく、券は売り切れたのにスタンドはガラガラだった。だから今回は一般向けを増やした。日本代表が強ければ人気は出る、ということは分かっていたので、日本協会も改善できた。マスコミの注目も、前回は五郎丸選手ぐらいで、その五郎丸選手もすぐ海外に移籍してしまった。今回は、プロップとか地味なポジションの選手も取りあげてもらっている」

     ◇     ◇

■そんなタイミングの4月、関西協会の会長に就任しました。

 「要請されて『柄じゃないですわ』と返事したけど、協力したい気持ちはあった。これまで、事務方に回ってラグビーのマネジメントをしたことはほぼない。でも現場の経験はあるので、プレーヤーズ・ファーストじゃないが『現場が一番』で考えていく」

 「競技の普及のために、関西協会の財政を強化したい。今まで大学ラグビーを中心に据えることで小口のスポンサーを集めてきたけど、もっとお金を自由に、裾野の普及にまで使えるように、協会自体の活動に賛同を得て、大口スポンサーを獲得したい。管轄の22府県協会と連携して積極的に新しいことに取り組む」

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■競技人口は約10年間、9万人台で推移しています。2度のW杯でラグビースクールの人数が増えた一方、高校は少子化などで減少傾向です。

 「課題は中学生の年代。学校にラグビー部が少ないので、そこで減ってしまう。スクールの人数を増やし続け、どう高校生の年代につなげるか。TLに代わって設立予定の新リーグでは、各チームがユース部門を設けることが必須になる。選手の取り合いでなく、スクールでも新たに勧誘するなどして競技人口を増やしていきたい。関西協会として何か支援ができれば、と思っている」

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■新型コロナウイルスの影響で、TLは途中終了。スポーツ界全体でも大会の中止が相次いでいます。

 「感染拡大まではチャンスの状況だったけど、この先どうなるか。人がぶつかるコンタクトプレーがある分、再開への道のりは長いと思う。ただ、このラグビー熱を冷めさせたら駄目。しっかり手を打つことも協会の仕事だと思っています」

     ◇     ◇

【関西ラグビー協会】日本ラグビー協会に属する3地域協会(ほかに関東、九州)の一つ。近畿、東海・北陸、中四国の22府県を管轄。TL3部となるトップウエストや関西大学リーグなどを主催している。

【はぎもと・みつたけ】1959年和歌山県生まれ。報徳学園高、同志社大を経て神戸製鋼でスクラムハーフとして活躍。87年W杯日本代表。神鋼を指揮してTLを制し、2004~05年に日本代表監督を務めた。

▼スクール人気、右肩上がり

 ラグビー人気は2015年のワールドカップ(W杯)で高まったが、いったん沈静化し、4年後に再び火が付いた。代表選手が多く参加するトップリーグでは、その浮き沈みが如実に表れている。

 15~16年は、15年のW杯後にリーグ戦が開幕。プレシーズンリーグなども含めた総入場者数は前季比で10万人近く増え、1会場平均も6470人と4割近く増加した。だが、翌16年は1会場平均が千人以上減。その後も5千人台が続いた。

 19~20年は、W杯後の今年1月にリーグ戦が始まり、活況を呈した。開幕節の総観客数は前季比で約3万人増え、9万人余りが来場。新型コロナウイルスの影響で2月の第6節限りで中止となったものの、1会場平均は1万人を超えた。

 子どもらが競技を始めるラグビースクールの選手数も、かつての横ばいから、15年W杯が終わった16年度は約1割増加。その後も微増が続き、19年度はさらに1割以上増えた。

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