スポーツ

「打倒、女王」(16)飛躍の舞台はWリーグへ 06年兵庫国体バスケ少年女子

2020/06/11 12:11

 2020年4月。日本でも新型コロナウイルスの感染が広がり、外出の自粛が求められていた。

 「1988年生まれ組」の5人は、オンラインで飲み会を開いた。

 参加者は「滝井ちゃん」こと滝井亜里沙(園田高出身)や山中美佳(神戸龍谷高出身)ら。幹事は森ムチャ(福岡・中村学園女高出身)だ。

 森について、山中は笑って話す。

 「昔は恐れ多かったけれど、今では一緒にバカを言えるようになった」

 2006年秋、兵庫国体のバスケットボール少年女子2回戦で延長、1点差の激闘を繰り広げた兵庫と福岡の選手たちは、国内最高峰のWリーグに進み、良きライバル同士になっていた。

     ◇

 国体のその後。

 兵庫に辛勝した福岡は、準々決勝で岐阜女高主体の岐阜に完敗した。

 「あの経験からチームとしてまとまり、レベルアップできた」と森。

 中村学園女高は同年12月、全国高校選抜優勝大会(現全国高校選手権)の決勝で岐阜女高を下し2連覇を遂げた。

 森は拓大に進み、2年と4年の時に全日本大学選手権(インカレ)を制覇。最優秀選手と、ディフェンス王にも輝いた。

 Wリーグのトヨタ自動車入りし、日本代表としてアジア大会でも飛躍。このほどデンソーに移籍し、現役を続けている。

     ◇

 滝井ちゃん。

 「あの頃、合宿で吉川先生に怒られた後は移動の車内で気まずくて。しーん、みたいな」

 国体の兵庫監督だった吉川公明(市尼崎高女子ヘッドコーチ)の話題に声が弾む。元気そうだ。

 178センチの兵庫最長身プレーヤーにとっては、「国体でのドリブルとスリーポイントが競技人生の起点になった」。

 関西の強豪、大体大に進み、インカレの上位で活躍。WリーグのアイシンAWでは外角シュートを武器に、7季にわたってチームを支えた。

 上背と機動力を生かして3人制バスケットにも挑み、昨年、「ビーフマン・ドットエグゼ」の一員としてリーグ優勝。今は現役を退き、アイシンAWで社業に専念する。

 「きらきらしてた」という06年。「面白いと思った吉川先生の教えは、プレーに取り入れてきた。その考え方、楽しみ方は忘れなかった」

=敬称略=

(藤村有希子)

【あらすじ】2006年の兵庫国体バスケットボール少年女子2回戦で、強豪・福岡に競り負けた兵庫。あれから14年、メンバーたちはそれぞれの人生を歩んでいた。

続きを見る

あわせて読みたい

スポーツ

もっと見る スポーツ 一覧へ

特集