
女子ゴルフのデサント東海クラシック最終日は20日、愛知県新南愛知CCで最終ラウンド(6456ヤード、パー72)が行われ、古江彩佳(滝川第二高出)が通算15アンダーの201で優勝した。
◇ ◇
ゴルフとは無縁だった父と歩んできた古江がプロ初勝利を手にした。
ゴルフを始めたのは3歳の時。勤め先のコンペに参加する母の練習についていったのがきっかけだった。ゴルフに興味を持った古江の相手を父芳浩さん(51)が買って出たが、ゴルフ経験は皆無。「クラブの握り方も知らなかった」と笑う。
幼いころは週1回、金曜日の夜に2人で練習場に出掛けるのが楽しみだった。一人娘で「将来一緒にラウンドできたらいいな」と趣味程度に考えていた芳浩さんだったが、古江は才能を秘めていた。小学校高学年になって大会に出場すると上位に入賞。全国大会にも勝ち進んだ。
試合で結果を残すにつれ、二人三脚に熱がこもる。芳浩さんは雑誌やテレビ番組で徹底的に技術を研究した。素人だったが、レッスンは受けず、すべて我流で指導。夕食を終えた後の練習は毎日。サラリーマン家庭で金銭的な負担を軽くするため「打ち放題500円」の練習場に通い詰めた。
父娘の毎日の練習は中学まで続き、古江は全国中学校選手権で優勝。滝川第二高進学後にナショナルチーム入りし、世代トップレベルに成長した。高校時代の恩師、角谷真吾監督は言う。「崩れないスイングはお父さんがつくり上げた。彩佳自身、信じる人をお父さん一人と決めているのでぶれない」
古江はプロ転向後の今も芳浩さんがコーチだ。その存在を尋ねた時、古江はこう答えた。「調子が悪い時に話を聞ける。2人なので迷うことがない」。父の的確な目線を支えに、気鋭の20歳がトッププロへの扉を開いた。(松本大輔)
