
バスケットボール男子Bリーグ2部(B2)、西宮ストークス(兵庫県)の試合に華を添える「ストークスチアリーダーズ」に、ひときわ笑顔の光るメンバーがいる。「歴代最年長ルーキー」という触れ込みで今季デビューしたYO-CO(ヨーコ、渡辺陽子)さん=大阪市=だ。気になる年齢は46歳で、踊り始めたのは出産後の30代後半という。「何歳でも本気になっていい」と3児の母は胸を高鳴らせている。(藤村有希子)
11月、ストークスのホーム戦でにぎわう西宮市立中央体育館。身長164センチの最年長ルーキーは、他のメンバー7人とともに、緑の帽子姿でさっそうと歩く。両腕を目いっぱい伸ばしてポンポンを振る。中学2年の長女、同1年の長男、6歳の次女を育てるママだ。
長女が2歳になった頃だった。チア教室に通わせたが、すぐにやめた。ふと「私がやった方がいいのでは」と考えついた。音楽番組などでダンスを披露していた「スクールメイツ」に憧れていた自分を思い出した。
とはいえ既に30代半ば。大阪府枚方市の中学時代はバトン部で活動したが、本格的なチア経験はない。そんな自分が通える教室はあるのか探していたところ、子ども向けチア教室のブログを見つけた。「教室生のイベントに、母親たちも参加する」という内容。「私もできるかも」と連絡し、大阪市の自宅から奈良県生駒市の教室へ通い始めた。
1時間半のレッスンのうち、1時間は筋力トレーニングで「本当にしんどかった」。腹筋も満足に鍛えられなかったところから、徐々に体力をつけた。
今季、教室のディレクターがストークスのチアを指導することになった縁で、自身もオーディションを受けることに決めた。夫には、相談ではなく「受けるわ」と宣言。合格した。
他のメンバーは「娘ほどの年齢」だし、何曲もの振りを短期間で覚えるのは大変。それでもパート勤務や家事、育児の傍ら、近所の公園で練習を重ねた。かつて「お茶代わりに飲んでいた」というビールはやめた。
ストークスのホーム戦のハーフタイムなどでダンスを披露してきた。ママ友から「すごい」の声が届き、自分に少し自信が持てるようになったと感じている。
年齢なんか気にしていては、堂々とコートに立てない。「還暦を迎えたときには赤いちゃんちゃんこを着て踊りたい。しかも、かっこよく」といたずらっぽく笑った。
