多くのミュージシャンに愛される神戸の名物ライブハウス「チキンジョージ」が、新型コロナウイルス禍により存続の危機に瀕している。2020年2月以降、200本以上のライブが中止、延期されてきたといい、3回目の緊急事態宣言がダメ押しとなって「閉店」の文字がついに点滅し始めたのだ。「本当にもう限界」というチキンジョージは、最後の望みをクラウドファンディング(CF)に託すことに。5月13日、CFサイト「CAMPFIRE」でプロジェクトを立ち上げ、ライブハウスが直面している窮状を赤裸々に打ち明けた。「神戸の音楽文化の発信拠点であるチキンジョージに未来を」--。
1980年に神戸・三宮に誕生したチキンジョージ。1995年1月の阪神・淡路大震災で全壊したが、同年12月には同じ場所で復活を果たした。矢沢永吉やChar、安全地帯、ブルーハーツといった伝説的なミュージシャンをはじめ、国内外の有名アーティストが出演してきた日本を代表するライブハウスのひとつとして知られる。
2020年は40周年を祝う年になるはずだったが、コロナ禍で記念公演などは軒並みペンディングに。相次ぐ休業・時短要請や収容人数制限、公演キャンセルによって売り上げが激減しており、ブッキングなどを担当するディレクターの間瀬場純さんは「この1年あまり、ずっと赤字です」と話す。
死活問題なのが、家賃などの固定費だ。特に家賃はここ何カ月も支払えておらず、それだけでも数百万円に上るという。間瀬場さんは「感染状況を見てもわかる通り、まだ以前のような営業ができる状態ではない。このままでは『立ち退き』という結果も当然あり得る」と危機感を募らせる。
チキンジョージには「震災を乗り越えてきた」という自負がある。そのとき、全国の人たちに支えてもらったという感謝の思いは今も強い。それだけに、「誰もがしんどい」このコロナ禍に支援を求めて声を上げることにはずっと躊躇いがあったという。
「でも、もうそんなことを言っていられる状況ではありません」と間瀬場さん。「とにかく生き残るために、できることは全てやらないと」。代表の児島進さんも、「震災とは全然違う出口の見えない厳しさ。なんとか力を貸していただきたい」と訴える。
チキンジョージの存続危機というニュースは関係者や音楽ファンにとってインパクトが大きく、13日正午にCAMPFIREでプロジェクトが公開されると、瞬く間に支援の輪が広がった。家賃やアルバイトの人件費、40周年記念公演開催費などに使う予定の目標金額1500万円は14日16時頃に早くも達成。15日現在、1800万円を突破した。ただ、今後も通常営業による収益確保の見通しは立っておらず、長期的な維持・運営費の確保は必須。今回のCFでは引き続き7月14日まで支援を呼び掛け、ライブハウスを守っていくための足掛かりにするという。
(まいどなニュース・黒川 裕生)
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