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アメリカ・ノースカロライナ州で6月10日に開かれた自転車レースの女性カテゴリーで、トランスジェンダーの選手が優勝した。この選手の生物学的な性別は男性で、大差をつけて敗れた2位の女子選手が大会後に「カテゴリーを分けるべき」と言及。競技の公平性に関する議論がSNSで巻き起こっている。

■圧倒的な差をつけて優勝

大会は「Belgian Waffle Ride(BWR)」。公式サイトなどによると、起伏が激しい約210キロのコースで実施する大会で、女子プロ部門の優勝賞金は5000ドル。オースティン・キリップス選手が序盤からレースの主導権を握り、2位と5分の差をつけて優勝した。キリップス選手は国際自転車競技連合(UCI)の公式イベントでトランス女性であることを公表。2022年から女性部門でレースに出場している。

この日のレース後、キリップス選手は「結果を出せたことが本当に誇らしい。レース序盤から前に出て差をつけることができた」と笑顔でインタビューに応じた。

■2位の選手「全員に活躍の場があるのは重要だが…」

一方、2位のペイジ・オンウェラー選手はインタビュー中に複雑な表情を浮かべ「オースティンにはかなわなかった。パワーが比べものにならない」と語った。

さらに大会後、この結果が物議を醸したことを受け、オンウェラー選手が自身のブログを更新。「(性別の)自認に関係なく、すべてのアスリートに競争の場が与えられるべきだと認識することが最も重要」と前置きした上で、「将来的には、カテゴリーを分けることが適切かもしれないと感じている」「これらの問題を解決するには時間も配慮も必要。BWRイベントが今後もすべてのライダーに敬意を持って対処してくれると信じているので、私は今後もBWRイベントをサポートし、参加し続けるつもりです」とつづった。

■他競技ではカテゴリー分けの動きも

国際自転車競技連合(UCI)はトランスジェンダー選手の女性カテゴリーの出場について規制するルールを設けておらず、SNSでは対応を求める声も根強くある。

国際陸上競技連盟(WA)は今年3月、「男性として思春期を過ごしたトランスジェンダーの選手」について、女子の世界ランキング大会への出場を認めない決定を発表した。また国際水泳連盟(FINA)も昨年6月、トランスジェンダー選手が「男性の思春期の一部を経験していた場合、女子のエリートレベルの競技会への出場を認めない」と決めた。

一方でFINAは、性自認が出生時の性別と異なる選手のために「オープン」という新たなカテゴリーの設置を目指すことも発表している。こうした動きがスポーツ界でどのような広がりを見せていくのか、注目したい。

(まいどなニュース・小森 有喜)