近年「ジェンダー」という言葉を耳にする機会が多くなったのではないでしょうか?ジェンダーとは生まれもった生物的な性の意味とは異なり、社会的・文化的に形成された性別のことをいいます。近年よく耳にする「SDGs(持続可能な開発目標)」に掲げられている17の国際目標の一つに「ジェンダー平等を実現しよう」があります。ジェンダー平等は、世界各国でジェンダー問題に対する取り組みが積極的に行われています。しかし日本はこのジェンダー平等が先進国の中でもとくに遅れているという現状があるのです。
今回取材したのは石川県在住のNさん(30代・会社員)です。Nさんは職場や家庭内で男女格差や差別は日常的に行われていると話してくれました。
■「女性はお茶汲みや雑務をしていればいいから」
Nさんは現在の職場で15年働いています。職場でも責任ある仕事を任せられ、また社員の教育などを担う立場です。ある日、コロナ禍における社員教育のあり方について話し合う会議が行われました。その会議でNさんが数年前から研修の一部として行ってきたオンライン研修が評価され、Nさんは社内表彰を受けることになったのです。
Nさんの所属する部署から社内表彰を受けるのはNさんがはじめてでした。Nさんは上司に表彰の報告と感謝の言葉を伝えると、上司からは耳を疑うような言葉が返ってきたのです。「女のくせに!出しゃばるな!」この言葉にNさんは愕然としました。
そして翌日、再び「Nさんに限ったことではないが、女性はお茶汲みや雑務をしていればいいから。それが女性の役目だからそれ以上のことはしなくていい」と上司に言われたのです。Nさんはジェンダー問題を解消しようという動きがある中、こうした発言をする上司に怒りと同時にジェンダー平等というものを知っているのか疑問を感じたのでした。
■なぜ共働きでも家事は女性の仕事なのか?
Nさんは家庭内でも当たり前のようにジェンダー格差が起こっているといいます。Nさんは夫と子どもの3人で暮らす共働き世帯です。結婚当初から食事の準備や掃除はNさんが行っていました。夫は週2回ゴミ出しをする程度です。
これまで何度も夫に家事の分担を提案しましたが「俺は仕事が忙しいから」と言われ、子どもが生まれてからも変わらず、子どもの保育園の送迎もNさん、買い物・洗濯もすべてNさんが一人で行っています。Nさんはなぜ自分も働いているのに、家のことはほぼすべて自分がしなくてはいけないのかと疑問に思っていました。
ある日、夫が珍しく子どもとお散歩がてら買い物に行ったのです。すると近所の方から「旦那さん、子どものお世話しながら買い物に行くなんて偉いですね」と言われたのです。Nさんは夫と同じシチュエーションだった場合、同じように声をかけられるのか、それとも母親が子育てや買い物をするのが当然と思われているのかとても疑問に思っそうです。ジェンダー問題において日本が遅れている原因の一つに、日本の昔からある慣習が令和になったいまでも根強く残っていることが関係しているのではないかとNさんは話しくれました。
■ジェンダー問題に取り組むには意識改革が必要
Nさんだけではなく、多くの人がジェンダーによる不平等を経験しているのではないでしょうか。また女性だけではなく、男性に対しても「男らしく」「男なんだから」といった言葉も心を傷つけてしまうこともあります。日本が世界各国からジェンダー問題に遅れをとっているのは、昔から引き継がれている考えや慣習が根強く残っているからともいえます。
今回Nさんの取材を通して、ジェンダー問題は身近なところで起こっており、また自分の言動がジェンダー平等に相反するものであることに気づかない人が多いのではないかと感じました。個々が自分の中にある「当たり前」に捉われることなく、意識改革が必要な時代になっているのではないでしょうか。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)
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