たまちゃん(メス)は、2015年8月頃、愛媛県にある西日本最高峰石鎚山の7合目、標高1450メートルのところにある石鎚神社成就社の境内にいた。どこから迷い込んだのか誰かが山の中に置いていったのか…いるはずのない猫が走っているのを、境内にある宿「白石旅館」の鶴井さんは見た。1歳から2歳ぐらいの若い猫だった。
当初警戒心が強く、石鎚神社や旅館の関係者が保護しようとしたが逃げ回り、正確な居場所が分からなかった。近くの石鎚スキー場や山の中で目撃されたが、保護できないまま4カ月経った。
12月上旬、雪が積もり気温氷点下になったある日、白石旅館の軒下にある縁台の陰から「ニャ~」とか細い鳴き声が聞こえたので鶴井さんが確認してみると、たまちゃんは空腹と寒さに耐えかねたのかその場から動かなかった。食べられそうなものを与えてみるとよほどお腹がすいていたのか勢いよく食べたという。
しばらくの間、一定の距離を取りながら食べ物を与えて続けると10日ほどで触らせくれるようになり、その後白石旅館館内にあるストーブの横で暖をとるようになった。そのままその場所がたまちゃんの寝床になった。
■いつしか旅館の看板猫に
たまちゃんは年明け1月には氷点下15度の極寒の雪の日に外を走り回ったり、遊んだりして、定位置のストーブのそばで毎月お参りに来る信者や登山客に可愛がってもらうようになった。山から下ろすという話もあったが、穏やかで大人しい性格で、人懐っこく悪さもしない。寒さの厳しい季節だったので、そのまま旅館で面倒をみることになり看板猫になった。
夏から秋にかけては成就社境内にある玉屋旅館の物陰を寝床にしていたようだった。名前はたまちゃんに決定。春には人に対する警戒心がまったくなくなり、成就社境内でひっくり返ってお腹を見せながら登山客を出迎えるようになった。
■みんなを笑顔にするたまちゃん
SNSで石鎚山の天気や季節の情報をたま店長として発信するようになってから、地元だけではなく全国から来る登山客や信者がたまちゃんに会いに来るようになり、写真を撮ってもらったりなでてもらったりしているという。
たまちゃんはとにかく人が大好きで、歩いている人がいれば近づいていき仰向けになってゴロゴロしながら触ってくれとアピールする。写真を撮られるのにも慣れて、コロナ以前には写真撮影で人だかりができたこともあった。
「暖かいストーブの上で仰向けに寝ていると口が開いて舌がでていたり、夢を見ているのか手足や口をもごもごしたり幸せそうな毎日です。猫用カーペットや毛布を送ってくださる人もいて、寝床は年々改良され、ストーブの周りは主にたまのスペースになっています」
次第に「石鎚山成就のたま」として知られるようになり、地元新聞に掲載されたり、2月22日の猫の日にテレビの企画で取り上げられたためか、わざわざ山の中まで会いに来る人もいがいたり、登山客が毎回立ち寄ってくれたりする。たまちゃんはみんなを笑顔にしてくれる愛らしい存在だという。
「たまたま冬の始まりに保護することができ助けることができたのは幸運でした。今では店長、看板猫として活躍しています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)
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