「平成オタクファッションの源流はキムタク」という仮説がSNS上で大きな注目を集めている。
「今やコスプレの1ジャンルと化してしまったこういう平成オタクファッションが何故生まれたのかについては何度も言ってるけど体系的な仮説を出してまとめたいと思ってる」
「俺が予想するに90年代にはキムタクという絶対的なセックスシンボルがいたわけで、時代が下ってゼロ年代に入った時にオタクに服買ってくるお母さんのイメージする若い子服装がそれに引っ張られてると思う。意識して見るとサイズ感の酷さとかは置いといて平成オタクファッションとキムタクは酷似する」
「ルーズなサイズ感、ユーズドのデニム、チェックシャツなどの90年代キムタクのファッションがオタクに服を買ってくるママの記憶に若い子のファッションとして残り、ゼロ年代に入ってサイズ感や服の品質や色合わせのセンスが大きく劣化した形で具現化したのが平成オタクファッションという仮説ですね」
と1990年代の木村拓哉さんのファッションと平成オタクファッションの関係性について考察するのはルディ寿司の親方さん(@040707_0707)。
平成時代のオタクには服装に無頓着なイメージがあるが、そう言われるとたしかにそのファッションにはアメカジ全盛期の木村さんに近いものがある。これまで真逆の存在と思われていたオタクと木村さんを繋ぐこの仮説について、ルディさんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):この仮説を思い付かれたきっかけをお聞かせください。
ルディ:服に興味がないとされるオタクに、なぜ「チェックシャツにユーズドデニムを着ている」というステレオタイプが根付くほどのスタイルが確立されたのかずっと気になっていました。考えてみた結果、それが90年代のキムタクのスタイルに似ていることに気が付き、考察を始めました。
いろいろ考える中で、インターネットの世界に古くからある「オカンが買ってきた服着てるだろ」とオタク同士の煽りヒントになるのではとひらめきました。そして、全国のオタクのオカンがイメージする“若い子の服”が、かつての絶対的なセックスシンボルであるキムタクのファッションであり、それと似たようなものを買い与えた結果、オタクのステレオタイプが生まれたのではないかという仮説に至ります。
中将:当時のキムタクの勢いを知ってる世代なので、めちゃくちゃ信憑性を感じます!
ルディ:しかしこれは私の浅学からくる誤りで、当時を過ごしたオタク諸先輩方の言説をまとめると、オカンもキムタクも関係なく、ユニクロなどのファストファッションが確立する以前に量販店で買えた服があのようなものだっただけということがわかりました。
つまり、キムタクを中心に流行った渋カジが量販店に並ぶほどに非ファッショニスタに届く形で世俗化した結果の「零落した渋カジ」がオタクファッションの正体なのではないかという新しい仮説に至りました。
中将:当たらずも遠からずだったというわけですね!90年代、ゼロ年代のファッションシーンにおけるキムタクの影響力についてご感想をお聞かせください。
ルディ:私は1992年生まれなのでリアルタイムを経験した世代ではないアメカジ好きなのですが、ファッションの参考にしているアメカジに強い30後半頃の業界の方のインタビューなどを見ると多くの方がキムタクについて言及していらっしゃいます。正に今の日本のアメリカンカジュアルの礎を築いた偉人なのだと感じます。
彼が中心になって起こした古着ブームでアメリカのヴィンテージデニムが大量に日本に流出したのも見逃せない点で、今日の日本の古着市場の基礎も間接的に彼が作ったのではないかなとすら感じます。
未だにキム着(きむちゃく)なる俗語でメルカリやヤフオクなどの中古取引で彼の着用アイテムが高値で取引されているのも見かけますし、影響の大きさを思い知る限りです。
中将:これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
ルディ:「オタクファッションキムタク起源説」についてあらゆる年代の方から本当にたくさんの意見や体験談を頂き、新しい仮説を立てられたことにインターネットの凄さを感じました。たくさんの人が意見を交換することで「ダサい服」の一言で断じられてきたオタクファッションに血肉がついて実体を帯びてくるような感覚でした。
トレンドのファッションは歴史として残ります。しかし、ダサいとされる服は埋没して忘れ去られます。オタクファッションという確かに存在した一つのスタイルがそうなってしまうのは一人のオタクとして寂しいと感じていたので、予想外の反響でしたが、とても嬉しく感じます。この場を借りてお礼申し上げたく存じます
◇ ◇
残念ながらルディさんが初めに立てた仮説は正確なものとは言えなかったようだが、発表を通して新たな仮説を導きだすことができたのはなによりだ。ファッションを知ることは文化や歴史を知ることに通じる。インタビュー中でも触れられていたが、今回のルディさんの投稿にはSNSユーザー達から数々の興味深い証言や考察が寄せられていたので、関心のあり方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)
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