大邸宅のプールで涼み、雪山でゴロゴロしては美白に磨きをかけるホッキョクグマが神戸市立王子動物園でおひとりさま暮らしを謳歌しています。流線型の真っ白ボディ、ビー玉のようなキラキラまん丸の瞳で来園者を見上げては「目があった」と歓喜させ、一瞬にして虜にしてしまう彼女の名は「ミユキ」。国内飼育36頭の中でも最高齢の30歳です。真夏の酷暑にバテ気味な様子を見せながらも、何をしてもお上品な佇まいから「灘の貴婦人」と密かに呼ぶファンも。その日々を見守り、支える飼育スタッフの思いを同園の飼育展示係長で獣医師の谷口さんに聞きました。
■「めっちゃ色っぽい」“熟女”の魅力?
ミユキは1990年11月30日、大阪・天王寺動物園で生まれ、1歳を過ぎてから王子動物園に。長年一緒に暮らしたオスに先立たれてからは、人工雪が降り積もる大きな展示場でゆったり、のんびりと暮らしています。ほぼ毎日、午後1時過ぎにあるおやつタイムでは、飼育員がプールにエサを放ることも。何がどこに沈んでいるかしっかり見定めてから静かにドボン。潜ってはエサを咥えてプカリと脱力浮上。地上最大の肉食獣ではありますが、ガツガツすることなく上品にいただきます。食べ終えるとプールの浅瀬にたたずみクールダウン。その姿は「気持ちよさそう」「めっちゃ色っぽい」と人気なのです。
-今年の夏も暑かったです。体調は?
「最近はよく食べており、暑い中でも元気に過ごしています。気温が上がり始めたころに体調を崩し食欲不振と下痢症状がありました。糞の検査で悪い菌(常在菌)が増えていることが分かり治療。徐々に改善が見られました」
-食べる量や内容に変化は?
「1日の給餌量は若いころと同じですが、回数を増やしています。分けて与えることで1回の量を減らし、胃腸の負担を軽くするためです」
-お腹の黒くて丸い物が気になります。
「『「臍(さい)ヘルニア』で、分かりやすく言えば「出べそ」の一種です。お腹の中にあるべき脂肪が皮下に出てしまっている状態ですが、生活に支障はありませんので経過を見ています。食欲や排便、活動性などを観察し、必要があれば治療することも考えています」
■人間だと80歳ぐらい。動物園にも温暖化の影響が…
-人間にすると何歳くらいでしょうか。年齢を感じることは?
「飼育下での寿命は25~30年と言われています。人の年齢に当てはめるのは難しいのですが、平均寿命から考えれば、ホッキョクグマの30歳は人間にすると80歳前後ではないかと。ミユキは最近、耳が遠くなっています。室内へ帰ってきてほしい時に気づかないことがあるので、扉の開閉でわざと大きな音を立てて呼ぶことがあります。高齢になるにつれ動きも少なくなってきたと思います。体調と天気が良いときは午後1時過ぎにプールにおやつを入れていますが、これは、体を綺麗にするためでもあります」
-ミユキの性格、特徴は?
「マイペースで、のんびり屋さんですね。長年連れ添った『アイス』と仲が良かったので6年前に亡くなった時にはもう少し寂しがるかと思っていましたが、意外と気にしていない様子で…。野生では基本的に単独行動のため、ミユキも単独で過ごすことを何とも思っていないのかもしれません」
-どんな炎天下でも外にいます。大丈夫なんでしょうか。
「ミユキの場合、終日屋内飼育だとかえってストレスがかかるため、屋内でも屋外でも好きな場所で過ごせるように、日中の出入りを自由にさせています。また、人工降雪機を常時運転。夏場の室内の温度は24℃に保っています」
-地球温暖化が進んでいると言われています。動物園のホッキョクグマにも影響は?
「地球温暖化により北極圏の氷は減少を続け、アザラシなどのエサの減少や汚染物質による健康被害、生息域の縮小などが起こり、野生のホッキョクグマは絶滅の危機に瀕しています。日本の動物園でも温暖化の影響は感じられ、ホッキョクグマにとっては厳しい気候となってきています。特に当園のミユキは高齢のため、暑さ対策など生活環境には気を配らねばなりません。動物園で見るホッキョクグマは、大きく力強く感じるのではないでしょうか。しかしその反面、ホッキョクグマが上記のような環境の変化にはとても弱い、ということも併せて知っていただきたいです」
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)
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