9月に入って急に肌寒く感じる日が増えてきましたが、収束が見えない新型コロナウイルスの流行に加えて、冬にかけて気がかりなのが季節性インフルエンザですね。昨シーズンは新型コロナの蔓延でマスクの着用や手洗いなど感染症対策を徹底した人や、インフルエンザのワクチン接種者が増えた影響もあって、例年に比べてほとんど流行しませんでした。そのため、今年のワクチン接種は控えようかなと考えている人も多いはず。今冬、インフルは流行するのか、ワクチン接種はすべきなのかどうか。専門の医師に話を聞きました。
■ワクチン供給量減少 出回るのも例年より遅め
厚生労働省によると、ワクチン株の増殖が思わしくなかったため、今季のインフルエンザワクチンの供給量は今年8月時点で、約2600万~約2800万本を見込んでおり、昨季の3342万本より大幅に減ると予想されています。また、新型コロナワクチンの製造を優先させている関係で資材が世界的に入手困難な状況が続いていることから、今シーズンは、10月末時点で全供給量の9割程度のワクチンが出荷済みだった昨シーズンに比べ、65%程度の出荷量にとどまっており、ワクチンが出回る時期も例年より遅くなるとみられています。
こうしたワクチン供給の状況も踏まえ、迷うのが、打つべきか打たずに済ませるか。ワクチン接種は高齢者や呼吸器に疾患のある人たちを除いて基本的に自費となるため、2回の接種が必要な子どもがいる家庭では、特に大きな出費になります。ワクチンを摂取すればインフルエンザにかかった場合に症状が軽くなることもありますが、かからない保証にはなりません。現にコロナ禍前の一昨年、我が家では家族4人がワクチンを接種しましたが、子ども2人と私が感染しました。
また、接種をためらう要因に、昨シーズンに感染者数が激減した点が挙げられます。厚生労働省によると、昨シーズンの推定患者数は約1万4000人で、例年(100万~200万人)に比べて大幅に減りました。
■まずはコロナワクチンを リスクある人は積極接種を
では、専門家の意見はどうでしょう。
「新型コロナが流行っているからインフルは流行らない、とは断定できない。予断は許さない状況です」と指摘するのは、兵庫県医師会副会長で公衆衛生担当の足立光平医師。足立医師によると、昨シーズン同様、流行しないかもしれないが、一年間出なかった分、免疫が下がって爆発的に増える可能性もある、と言います。「重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人に加え、これまでにインフルエンザにかかったことがなくワクチンも接種してこなかった子どもたちは、積極的に打つべきです」と話します。
例年、接種が始まる10月初めは予約が殺到してワクチンが足りなくなるといい、足立医師は「まずは今、何よりもコロナのワクチンを打ち切ってほしい。その上で、リスクがある人は焦らずにインフルのワクチンを接種して」と呼びかけています。
(まいどなニュース特約・斉藤 絵美)
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