年明け早々、取材で訪れた鳥取市内の海鮮料理店で見慣れない正月飾りを見つけた。三方に山盛りにされた生米の上に、煮干しや干し柿、栗が雑然とばらまかれて(?)いる。不思議に思って店の人に尋ねてみたが、「私は詳しくないので…」と要領を得ず。そのまま鳥取を去って気づけば早10日余りが過ぎた。今更だけど、あれは何だったのだろう。
その正月飾りがあったのは、鳥取市北部の日本海に面した賀露町西にある「海鮮祭ホーエンヤわったいな店」。賀露港で水揚げされる新鮮な海産物を扱う人気店だ。地元で代々続く旅館「山田屋」などを運営する有限会社山田屋の飲食事業で、従業員によると、正月飾りは山田将司社長の指示で置いたものらしい。
山田屋にあらためて問い合わせたところ、「何代にもわたって受け継がれているお正月の習わしですが、正直、詳しいことはわかりません」との回答。山田屋はこの店だけではなく旅館にも、松の内である1月7日頃まで同じものを飾っていたそうだ。
他に詳しい人はいないか。
鳥取市の文化財課に尋ねてみると、鳥取県立博物館の学芸員、福代宏さんを紹介された。専門は民俗学で、地域の祭りや行事、民間信仰に造詣が深いという。
メールに添付した写真を見た福代さんは「これは蓬莱飾りですね」と即答。一般的には三方に白い紙などを敷いて米を盛り、熨斗鮑(のしあわび)、搗ち栗(かちぐり)、干し柿、昆布、海老などを飾る正月の縁起物で、調べてみると、これらの乾物類はかつて「食積(くいつみ)」とも呼ばれたらしい。一瞬ギョッとした煮干しも、「正月のおせち料理に欠かせない田作(たづくり)でしょうね」とのことだった。
福代さんは「都市部ではあまり見かけなくなった風習かもしれませんが、全国的にも決して珍しいものではありません」とした上で、「鳥取に関して言えば、賀露町だけでなく、鳥取市の南にある八頭町などで今も受け継がれています。人に『見せる』飾りで、今はどうかわかりませんが、かつては来客に食べるよう勧めたりするものだったようですよ」と教えてくれた。
蓬莱飾りは、家や地域ごとに形態や飾る食材、飾り方も様々のようだ。皆さんがお住いの地域にも、蓬莱飾りはありますか? 地元の人にとっては当たり前でも、もしかしたらよその人が見たら驚くようなものがあるかもしれませんね。
(まいどなニュース・黒川 裕生)
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