働き方改革が叫ばれる中、コロナ禍によりテレワークが普及したこともあり、労働環境には大きな変化が起きています。いま終身雇用制に変わる雇用形態として注目を集めているのが「ジョブ型雇用」。すでに欧米企業では主流となっている働き方です。このジョブ型雇用は日本が抱える大きな社会問題の一つ、ひとり親世帯の経済的格差の解消へとつながるかもしれません。
2人の子どもを育てるシングルマザーのTさん(正社員・40代)は、離婚前からいまの職場で正社員として働いていました。勤続年数は15年で年収は330万円。厚生労働省が2017(平成29)年に報告した「2016(平成28)年度 全国ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭の平均年間収入は200万円とされています。Tさんの場合、母子家庭世帯の中では収入が比較的多いように見えるかもしれませんが、教育資金など今後必要となる費用考えると、決して余裕があるわけではありません。いまの職場では昇給も見込めないことから、転職を考えるようになったそうです。
ハローワークや求人サイトに求職者登録をし、転職についてインターネットで情報を集めていたときに知ったのが「ジョブ型雇用」という働き方でした。
■ジョブ型雇用成功のカギは「経験」と「資格」
ジョブ型雇用とは、企業が勤務地や労働時間、仕事内容など仕事をするにあたって条件の取り決めに沿って雇用契約を結び、その契約の範囲内で働くといった雇用形態です。
Tさんはいまの職場で培った経験から、業務に関するいくつかの資格を取得していました。また離婚後、職種に重要とされる2つの国家資格を取得しており、このことがジョブ型雇用成功のカギだったとTさんは話してくれました。面接では経験や今後のキャリアについて聞かれることが多く、年収についても仕事の責任は大きくなりますが、いまの収入よりも約100万円上がると提示を受けました。面接から数日後、採用の連絡を受けTさんは長年勤めた職場を退職することに決めたのです。
面接ではひとり親であること、転勤はできないこと、残業は難しいことなど、Tさんからもいくつかの条件を提示したそうです。ジョブ型雇用といってもこれまでの雇用と同じように、社会保険や雇用保険などの社会保障に加入できます。自分の専門性に特化した業務を担当するため、業務に関係のない部署への異動がなく、自分のスキルを十分に発揮できる環境で仕事を行えることが大きなメリットとなります。ジョブ型雇用の場合、専門性やスキルを持つ社員を雇用したい企業は、即戦力となる人材に対して専門性や経験に見合った給与を支払うことが多いというのが特徴です。
転勤や部署異動の可能性が少なく、自分のスキルを生かし収入アップが期待できるジョブ型雇用は、シングルマザーの仕事と育児の両立に対して一つの光となり得るのではないでしょうか。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)
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