2020年11月6日に誕生した、商品企画とデザイン、さらにはSNSでの話題づくりまでを代行するふたりだけの小さな会社「株式会社2時」(京都市)。同社がこの一年で手がけた、犬さんがうれしそうに「勝訴」と書かれた小さなクッションをくわえて走ってきてくれる「犬用勝訴マスコット(バンダイ)」や、ナッツをちょこんと抱える姿が可愛すぎる「ハムスターモナカ(青木光悦堂)」などの『バズる』商品がSNSで次々、話題を呼んでいます。
通販会社「株式会社フェリシモ」(神戸市)の関連会社である同社を設立したのは、プランナーの楢崎友里さんと田中桃子さん。ふたりはかつて「フェリシモ」に在籍し、SNSでも大反響のあった「なぜかかわいい抱っこ牡蠣」「ドラえもん布団収納ケース」などのユニークなアイテムを手がけた実績で世に知られてきました。
そんなふたりが、大手「フェリシモ」でのヒットプランナーとしての地位をあとにし、あえて冒険の道を選んだのはなぜなのでしょうか。「社名の『2時』には『ななめ上』の発想を大切に、世の中を楽しくするモノやコトを生み出していこう、という思いを込めました」と話すふたりに、新会社設立の経緯からネット戦略、今後の仕事の展望までを伺いました。
--新会社設立の話をはじめたのはいつぐらいからですか?
楢崎さん(以下、楢崎)「独立の1年ほど前からです。どちらもフェリシモで7年ほどプランナーの経験があり、今後どんな未来を自分たちが迎えたら楽しいのかな、というのを互いに話すようになりました。新しい環境に身を置くことで刺激を受け、今とは違うもっと面白いアイデアが出てくるかもしれない、と思ったんです」
--安定を捨てることに怖さはなかったですか。
楢崎「もともと楽観的な性格ということもあって、怖さよりもチャレンジするワクワク感のほうが大きかったです。前職にいる時から、田中さんとは『面白い』と感じるベクトルがいっしょでした。わたしの商品企画のアイデアを聞いてもらって、お互いにしゃべりながらどんどんイメージを被せることで、問題が解決し、ゴールが明確になり、企画が面白いものへと結実するんです。だからこの人とならやれる、と思いました」
--まるでホームズとワトソンのような関係なのですね。
楢崎「そう、シャーロックとジョンのようなね(笑)……なんて!そんないいものではないのですが」
田中さん(以下田中)「実際の業務は互いの得手不得手を補い合っていけるとも思いましたし、もし独立して大コケしてもふたりで笑っている姿が見える気がしました。たとえ失敗しても一緒にバイトしたらきっと楽しいな、って」
楢崎「失敗が怖くないならもう無敵だな、と独立を決めました」
--ネット戦略についても聞かせてください。まず、HPは殆どランディングページだけで全ての情報が完結しているようなミニマルなデザインですが、これはどういう意図でこういう構成になさったのですか。
楢崎「じつはHPはわたしがAdobeポートフォリオで手作りしたんです。お金をかけたくなかったので(笑)。あまり複雑な階層のあるホームページにはせず、見やすさを重視した極力、シンプルなデザインに仕上げました。SNSもTwitterとInstagramを主軸にnoteをブログのように使っています。ふたりしかいないので、あまり手を広げず、これ、と決めたSNSを集中して使うと決めました」
田中「でも最初は大変でした…設立からしばらくは、Twitterのフォロワーが37人しかいなかったんです。知り合いの方々がフォローしてくれて(笑)。ですからまず、フォロワーを増やすところから考えました」
楢崎「やはり『バズる』ことが大事で。バズる商品を企画制作、ツイートを地道に続けた結果、現在は2.5万人の方がフォローしてくれるようになりました」
--Twitterでは投稿へのコメントにも積極的にお返事していますね。
楢崎「フォロワーさんが本当に優しいので良いリプライばかりなのですが、お返事する際は、慎重な言葉選びを心がけています。相手がどんなお気持ちでいるかはこちらには分からないので、気をつけなければ、という感覚は常にあります。でも、SNSでの話題づくりまでを仕事として請け負っているので、わたしたちにとってSNSは必要不可欠の存在です。メリットが大きいので、マイナス面もふまえたうえで覚悟を持って使っています」
--「バズる」ことによる影響力は大きい、ということですね。昨年末に「ハムスターモナカ」の投稿がバズりました。初回の販売数はすぐに完売し、その後もTwitterで再販の告知をするたびに瞬く間に売り切れていました。
楢崎「実は『ハムスターモナカ』は自分たちで京都の和菓子屋さんに持ち込みにいった企画なんです。せっかく京都に事務所を構えたので和菓子屋さんとお仕事がしたいと思い、最中のアイデアを出しました。賛同してくれた青木光悦堂さんとのコラボレーションが実現したときは嬉しかったです。自らの持ち込み企画だったこともあり、絶対に成功させたかったので。反響も大きく、手ごたえを感じられたお仕事の一つです」
--それは良かったですね。今後はどんなお仕事をしていきたいですか。
楢崎「話題になる土産ものを作ってみたいです。訪れた人々を感動させる生産物や風景といった『推しどころ』はあるけれど、それをどうアピールして集客につなげたらいいのかわからない、といったお悩みをお持ちの地方自治体は多いのではないかと感じます。ぜひ、わたしたちのアイデアで話題づくりのお手伝いをさせていただければ嬉しいです」
◇ ◇
独立して1年が過ぎた今の心境をたずねると、ふたりからは「後悔は全くないです」と異口同音に答えがかえってきました。「学ぶべき新しいことがたくさんあります。たとえば、わたしは経理を担当しているので、社会保険のしくみなどが分かってきてとても楽しい」(田中さん)、「互いに楽観的なのは良いことですが、同時に、『調子に乗らないこと』を社訓に鋭意業務に取り組んでいきたい」(楢崎さん)と考えているそう。現在もいくつかの案件が進行中とのことで、今後の快進撃に注目です。
(まいどなニュース特約・山本 明)
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