昨年3月23日、北海道旭川市内に住む当時14歳の中学2年生だった廣瀬爽彩(さあや)さんが同市内の公園で凍死した姿で発見され、その2年以上前からいじめに遭っていたことが報じられたことを受け、同市の今津寛介市長は1月20日、市教育委員会が設置した第三者委員会が6月末までに最終報告をしなければ、独自に市長直属の第三者委を並行して主導し、調査を実施すると明らかにした。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、当サイトの取材に対し、聞き取り調査が終わっていない第三者委の在り方を批判した。
第三者委は昨年5月に発足。児童生徒へのアンケート調査などを行なってきたが、同9月の旭川市長選で「いじめ対策」を公約に掲げて初当選した今津市長は「第三者委の調査が遅いとの指摘がある」として、開始から1年を迎える6月を区切りと設定した。いじめ防止対策推進法に基づく国の指針では、事案の特性などから必要な場合や遺族が望む場合には、市教委が設置する第三者委の調査と並んで、市長が実施することも想定されるとしている。
小川氏は自身のYouTubeチャンネル「小川泰平の事件考察室」で就任まもない今津市長にインタビューをしており、今回表明した内容を評価しつつ、「大津のいじめ事件は5カ月で50回以上、つまり月に10回ペースで調査をして完了した。旭川では7カ月たっても関係者の聞き取り調査が終わっていない。第三者委の方は夏休みに学校の先生や生徒に聞き取りできなかったのか。自分の休みを優先するのですか。14歳の女の子が命の重さをもう一度考えて、仕事をまっとうしませんか。ですから、市長もこういうこと言っている。市長にこんなことを言わせないでください」と苦言を呈した。
今年1月に通算6度目となる現地取材を行なった小川氏。「ご遺族は2月13日には何らかの結果を出して欲しいと言われています。その日は、爽彩さんが行方不明になった日です。ちょうど1年になるので、ご遺族は少なくとも、まず『いじめがあったのか、なかったのか』を、その日までに知りたいと言っているが、聞き取りが終わっていない現状では無理でしょう」と指摘した。
その上で、同氏は「市長が提示した6月末まであと5カ月近くあり、大津事件のように、普通に調査はできます。任意での聞き取りは強制力がないので、相手が何も答えない、忙しい、覚えていない等々大変であることは承知していますが、期限までに報告しないと怒られるから、非難されるから、やったことにしようとしたり絶対にしないでください。『やっつけ仕事』は絶対にダメです。ちょっとしたゴマカシが後で大変なことになるので真摯に取り組んで欲しい」と注文した。
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