日本郵便が配達用に電動バイクを採用したこともあり、街なかで電動バイクを見るようになりましたが、その多くが海外で生産されたものです。ところが日本製でしかもほぼ正方形にたためて持ち運べる画期的な電動バイク「タタメルバイク」が登場。初お披露目されたのは幕張メッセで開催の「TOKYO OUTDOOR SHOW2022」の会場でした。
電動バイク「タタメルバイク」を横から見るとほぼ正方形でタイヤも収納されているため、一見するとバイクには見えず、オフィスに置いてあるスツールなのかな!? とみまごうほど。たたんだ状態では、スーツケースのように移動用のハンドルが付いていてタイヤを転がしながら楽に運べるため、玄関や部屋、店舗、オフィス机の下など気軽に置くことも可能。
走るときはまずシートを後ろにスライドさせ収納されているハンドルを引き起こします。そのあとテールを持ち上げて垂直におりたたまれているリアサスペンションを90度後方に回転させると、自然とフロントサスペンションも前方に出てきます。あとはステップを出せばOKという簡単なもので工具は不要。
■「タタメルバイク」のコンセプトが立ち上がったのは2016年
「タタメルバイク」を企画・開発したのは、東京都中野にある株式会社ICOMA。代表の生駒さんの名前から「ICOMA」という社名を付けたそうです。コンセプトが立ち上がったのは2016年のこと。最初にミニチュアモデルを作り発表したら反響の多さに実車化できるのではないかと考え、2020年に起業して3Dプリンターや板金加工でどうにか初号機を一人で製作。そこから自動車メーカー出身者の力を借りてブラッシュアップして2号機に続き、今回展示した最新の3号機では、原付きナンバーまで取得して公道走行まで実現しています。
生駒さんはもともと玩具メーカーで変形ロボットを作っていたそうで、そのあとは家電のスタートアップやロボットベンチャーで家庭用ロボットを作っていたという経歴の持ち主。開発にはそのときの経験やアイデアも生かされているかもしれません。今後は製造業や自動車メーカー出身のエンジニアにもサポートしてもらい、2年以内の量産化を計画しているそうです。
■たためるバイクの元祖と言えば「ホンダ・モトコンポ」
たためるバイクと言えば、ホンダから発売されていた「モトコンポ」を思い出します。「モトコンポ」は1981年発売のFFニューコンセプトカー「ホンダ シティ」に搭載するために開発・発売されたトランクバイク。全長1185cm、乾燥重量42kgで2.5psの49cc2サイクルエンジンを搭載。当時の販売価格8万円とお手頃なこともあって人気があり、中古バイク市場では30万円から70万円ほどの高値で販売されています。
「タタメルバイク」と「モトコンポ」は共に原付きバイクですが、大きな違いは動力源がエンジンではなくモーターだということ。3.7V換算で16万6000mAhのバッテリーを搭載し給電も可能なため、スマホの充電はもちろんのこと、災害時にはコンセントからの非常用電源としても使えます。
またエンジンと違い冷却する必要がないため、サイドパネルも付け替え可能。太陽光パネルやデジタルサイネージとしての機能を持たせたり、部屋のインテリアに合わせてウッド調やフェイクファーなどカスタマイズさせたりもできるのでいろいろな使い方が考えられます。
■10インチタイヤの採用で乗り心地はスクーター以上?
会場では試乗できなかったのですが、「タタメルバイク」は原付きスクーターと同じ10インチタイヤを採用し、原付きスクーターよりも高性能なサスペンションを前後に採用することで、路面の凹凸をしっかり吸収し快適な乗り心地を実現しているとのことで、見た目よりはかなりの本格派だそうです。
国内二輪メーカーではホンダやヤマハから電動スクーターも出ていますが、こちらはエンジンをEV化したもの。「タタメルバイク」は、既存のバイクをEV化したものではなく、まったく新しいコンセプトから誕生したもの。たためるためクルマに積み込み移動先や旅行先で乗るという使い方もでき、また置く場所にも苦労することもないという電動バイクには新たな可能性を感じずにはいられません。
◇ ◇
【ICOMAスペック(開発中)】
車体寸法(バイク状態ミラー含む):全長1230mm/全高1000mm/全幅650mm
車体寸法(収納状態):全長700mm/全高680mm/全幅260mm
モーター:定格出力600W
定格電圧:51.2V
バッテリー:リン酸鉄リチウム電池
バッテリー定格容量:12Ah (約0.6kWh)
車体重量:未定
クラス:原付一種 (普通免許で運転可能)
想定最高速度:40km/h
想定航続距離:50km
(まいどなニュース特約・鈴木 博之)
あわせて読みたい
話題
-
暗めの髪色ロングヘアから“緑の丸刈りショート”へ 周囲の「やめた方がいい」を超えて挑戦した女性 髪型を通して取り戻した“自分らしさ”
-
「育休中の妻の仕事は育児でしょ」夜泣きでボロボロの妻に、アドバイスを検索するだけ “見てるだけ夫”に限界を迎えた妻の決断【漫画】
-
「揖保乃糸」ネオン看板が話題 姫路駅前で40年超…「美しい」「芸術だ」「感動した」「姫路に来たと実感」
-
ずっと待ち続けた猫との出会い…「半ば諦めていた夢」が叶い、保護猫をお迎え 絵に描いたようなツンデレガールは家族の絆を深める存在に
-
「納車から廃車まで一瞬」クロネコ便の段ボール車を乗りつぶした猫さん 大胆すぎるアクションに「何回見ても笑える」「壊れ方そっち?」
-
関西のなつかし銘菓「ぽんせん」 火事にコロナに機械故障…経営危機乗り越え、1年2か月ぶりに製造再開!
-
「よく購入する・好きなファッションブランド」ランキング 全世代で1位に選ばれたのは…
-
会社員の約7割「接待や会食での飲酒を断れない」→内科医500人に聞いた、実践している「ケア」とは
-
お腹がつながって生まれた双子姉妹 生後2カ月で分離手術 16年後の同じ日に父を亡くし…“命のバトン”胸にモデルの夢へ
-
馬にシマシマのカバーをかけて虫よけに?イグノーベル賞を受賞した防虫方法、乗馬界では常識だった?