その学生は就職活動の面接がうまくいかずへこんでいました。京都に帰る夜の新幹線、隣に座ったおっちゃんが「飲む?」と彼にビールをおごってくれました。会話が始まり、話し込むうち、気持ちが少し楽に。下車の間際、おっちゃんは名刺を渡し、「アサヒビールをよろしく」と立ち去っていきました。あの時の営業マンさん、あの学生さん、ビールは御社一筋ですよ!
ツイッターユーザーの特盛(@5_SPOT)さんが投稿した学生時代のエピソードが話題です。仕事への誇りを感じさせる大人の振る舞い、人と人がかかわる不思議…。「本当に自社製品が好きで、誇りに思ってないとできないよね」「自分が就活生ってこともあり、めちゃくちゃ心に響いた」「下戸にも響くええ話」といった声が上がっています。特盛さんに当時の記憶を紐解いてもらいました。
■アサヒビールの思い出
20年以上前、就職活動中だった特盛さん。面接がうまくいかず、東京からの帰途の車内で落ち込んでいました。隣に座った40歳ぐらいのスーツ姿のおっちゃんが、車内販売で「アサヒスーパードライ」をいくつか買い求め、「どうぞ。飲める?」と2缶を特盛さんに渡しました。
会話が始まります。就活中であることを告げると、「大学はどこ?」「どういう企業を受けてるの?」と聞かれたそう。「ビールうまいだろ?」「メッチャうまいです!」「やろ?」の会話の後、うまそうにビールを飲むおっちゃん。たわいない世間話なのに、沈んでいた気持ちがずいぶん楽になったそうです。
名古屋駅に近づき、下車の準備を始めるおっちゃん。「何の仕事をしてるの?」と尋ねる特盛さんに「ああ、言ってなかったね」とくれた名刺は、アサヒビールの営業マンでした。「アサヒビールをよろしく」のセリフとともに、ニコッと笑って去っていったそうです。驚く特盛さんを車内に残して。
■最高にかっこええな
「最高にかっこええなと思った」「こういう先人たちの無数の愛があるから、アサヒスーパードライは35周年を迎えてもまだ存続しているのだろうね」ともツイートした特盛さん。この営業マンさんとの出会い以来、ずっとアサヒのファン。「家で飲むビールはアサヒ一択」といいます。話を聞きました。
ーおっちゃんから就活について何かアドバイスはあったのですか
「直接、間接の助言というより、人と人との出会いってこんな形で自分から働きかけてつくるってのもあるのだなと強く印象付けられました」
ー就職活動は結局どうなりましたか
「エピソードに挙げた、へこんでいた会社は落とされ、コンサルティング会社に就職しました。新卒を募集せず中途採用だけの会社だったのですが、こちらから連絡して面接プロセスをこじ開け、例外的に採用してもらいました。今になれば、①MBA保持者②起業経験者③投資銀行、戦略コンサルティング会社出身者みたいな募集要項に、なんの経験もない新卒で厚かましくもよく飛び込んだものだと思います」
新卒で入社したコンサルティング会社を経て、ベンチャー、投資会社でキャリアを積み、現在は複数企業にM&Aのサポートやアドバイスをしつつ次の目標を考えているという特盛さん。悩める学生や若い社会人と話す機会もあるといい、「誰かの人生を生きるのはやめて、自分自身納得のいく人生を」と伝えているそうです。
(まいどなニュース・竹内 章)
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