昨年3月23日、北海道旭川市内に住む当時14歳の中学2年生だった廣瀬爽彩(さあや)さんが同市内の公園で凍死した姿で発見され、その2年以上前からいじめに遭っていた疑いがあるとされた問題で、事実関係を調査してきた第三者委員会が27日、「いじめとして取り上げる事実があった」と認定し、遺族側に報告したことを明らかにした。認定したのは6項目で、その詳細は近日中に公表するとしている。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は30日、当サイトの取材に対し「警察の再捜査によって刑事事件として立件さる可能性もあり得る」と指摘した。
市教委の第三者委は昨年5月に調査を開始。今回、「いじめの有無」について「あったという事実」を中間報告として遺族側に伝えた。これまで、市教委や学校は「いじめ」を認めていなかったが、一転して認定されたことに対し、小川氏は「これは大きいことです。確かにスピードは遅いが、いじめを認める報告をしたということで今後どうなるか」と注目する。
旭川市の今津寛介市長は今年1月、市教委の第三者委が6月までに最終結論を出さない場合、市長直属で調査する別の第三者委を設けるという方針を打ち出した。それが、今月下旬に、約2カ月前倒しとなる4月中にもその調査組織の設置を検討していると報じられ、「いじめ」の実態解明に向けて事態は大きく動き出している。
小川氏は「その中でも警察の再捜査の可能性について考えてみたい」と焦点を絞った。
同氏は「いじめをいじめとして終わらせてはいけない。いじめは犯罪なんです」と強調し、「いろんな犯罪があるが、何の犯罪に相当するのか。殴った場合も暴行なのか傷害なのか微妙なところがあるし、物を取った場合は恐喝なのか窃盗なのか。そのあたりは第三者委員会の方は刑事事件の専門家ではないので、警察が判断するし、取り締まるのは警察や検察であるわけです」と解説した。
さらに、小川氏は「いつ、どこで、誰が、誰と一緒に、誰に対して、何をしたかが明らかにならなければ、いじめを認めることにはならない。そこで、警察が再捜査する可能性は十分にある。滋賀県の大津事件では同じ中学2年の被害者ご遺族が、暴行事件の被害届を警察に出したが、3回出したのに不受理だった。それが第三者委員会の捜査が進むに連れて警察も態度を変えてきたのか、暴行、恐喝、強要、窃盗、脅迫、器物損壊という、分かっているだけで、6つの罪名の告訴状を受理しています。大津の事例と比較しても、旭川の件も十分に、告訴状や被害届を警察が受理し、再捜査する案件だと思います」と考察した。
その上で、小川氏は「旭川の件では脅迫、暴行、強要といった罪名が付くのではないかと解釈しているが、いずれも時効は3年です。ウッペツ川の件(※2019年6月22日、被害者が加害者側とみられる10人近くの未成年者に囲まれ、この川に飛び込んで警察が出動した)の関係は今年6月22日が時効です。あと3カ月近くあるので、告訴も可能だろうと思いますし、警察は再捜査をしないといけないと考えていると思います。他の事件は罪名によっては時効はまだ先である」と見解を示した。
同氏は「当時、事情聴取した者の中にいた触法少年(※14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)がやったことになっているが、(加害者は)1人ではないはず。今後、捜査が進展し、加害者が明らかになっても、未成年ですから、名前等は公表されないと思いますが、その加害者が検挙され、民事だけでなく、刑事でも立件される可能性は十分にあると思っています」と付け加えた。
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