度重なる法規制にも関わらずなかなか改善されない現代の過酷な労働環境。
今、SNS上ではそんなご時世に一石を投じるある風刺漫画が大きな注目を集めている。
「ひととしてだいじなしごと。」と件の風刺漫画を投稿したのはホラー・風刺漫画家の洋介犬さん(@yohsuken)。
キャパシティーを超える仕事を抱えてしまい途方に暮れる部下に対し「キミにある最優先で大事な仕事を命じる」と語りかける上司。まだこの上に仕事を押し付けられるのかと思いきや、その命令とは「今すぐ帰って休め」というものだった…。洋介犬さんにお話をうかがってみた。
労働者の悲哀とまだまだ捨てたものではない人の温かさを描いたこの作品に対し、SNSユーザー達からは
「『健康診断に行こう』は物凄く沢山言う事にしている。
行かないと絶対に後悔するぞ。必ず健康診断は行くんだ。」
「『いつも100%で仕事はしないように、いざという時の為に常に80%くらいで仕事するように』と言われて楽になった。
過労で倒れてから言われたんだけどw」
「まあ帰ってもあの仕事どうすればとかで休めた内には入らないんだが」
など数々の共感と感動の声が寄せられている。
洋介犬さんはどうしてこんな作品を描こうと思ったのだろうか。
ーーこの作品を描こうと思ったきっかけをお聞かせください。
洋介犬:実は自分自身もワーカホリックであり、現在連載が6本あります。仕事を抱えすぎて家族やファンの方に怒られることもしばしばです。そういう仕事をしないと不安な自分と、同じ悩みを抱える方への救いの声を形にしたいなというのがきっかけでした。
自分の漫画が誰かに影響を及ぼし、残ることを至上命題と喜びと誉れにしているので、そうなれば幸いです。
ーー現在、ブラック労働など過酷な労働環境が社会問題になっていますが、どのように思われていますか?
洋介犬:実はこういう漫画をよく描くわりにサラリーマン経験はなく、ずっとフリーランスで漫画家なのですが、つらい仕事内容や人との関わりで直面する問題は共通だと思います。まだまだ是正には遠いながらも、根性論や昭和的ブラック体質がこうして問題として俎上に上げられるようになったこと、注目されるようになったことに関しては大いなる前進とも感じています。
あとはつらい経験した者同士が「うちの方がしんどかった」「いやうちの方が」とランク付けをしてそこでカーストが生まれないようにも願いたいと思っております。
ーー洋介犬さんが社会的テーマをもった作品を描く理由をお聞かせください。
洋介犬:今はホラー漫画家が主ですが、デビュー時は4コマ漫画家であり、当時としては珍しかった「ギャグをオチにしない」風刺的4コマを描き、異端視されていました。
時は流れ、今はこういうものを描いてもむしろ歓迎されていることが嬉しいですし、僕としては原点回帰的なところがあります。個人的に好きな明治、大正時代の風刺漫画へのリスペクトもあります。
ーーコメントや反響へのご感想をお聞かせください。
洋介犬:多くのご同意のお声はもちろん、「救われた」「人生観が変わった」というお声が多く、光栄です。先程も述べたとおり、自分のささやかなペンの力で誰かの心に残れるのなら作家としてこれ以上の幸せはないと思っております。
◇ ◇
この漫画は、上司と志願した部下の同僚が仕事をリカバーする展開を想定して描かれているということ。寄せられたコメントには「休めても仕事のフォローはあり得ない」などとうがった見方をするものもあったが、より良い社会を実現するためにもこういう時に周囲がフォローするのは当然だという意識を持ちたいものだ。
なお今回の話題を提供してくれた洋介犬さんは4月22日に"風刺的シリーズ"としてワイドショーコメンテーターを主人公とした「反逆コメンテーターエンドウさん」(KADOKAWA)を発売。
こちらもSNS上で非常に人気が高まっている作品なので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)
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