■庭に現れた親子猫
小春ちゃん(メス)、しずくちゃん(メス)、虎太朗くん(オス)=全員推定4歳=は、2017年10月頃、埼玉県に住む黒田さん宅の庭に痩せほそった母猫と一緒に現れた。4匹は毎日一緒に顔を出すようになった。
子猫たちはまだ乳飲み子で、母猫は子猫たちを守ろうとしたのか用心深く気が立っているように見えた。黒田さんは猫に関する知識もなく、どうしていいのか分からず、時間だけが過ぎて行った。
「母猫はTNRして、子猫たちは保護して里親を探したらいいのだろうか、と悩みました。やがて冬が来て、母猫は姿を見せなくなりました」
それでも子猫たちは揃って庭にやってきた。3匹で戯れ合ったり、寒さを凌ぐように身を寄せ合ったりして過ごしていた。
■これ以上放っておけない
黒田さんは子猫たちが不憫で、ごはんをあげるようになった。
「食事を与えてしまった以上、3匹とも保護するか、少なくともTNR しなければならないと思いました。保護するなら3匹一緒という選択肢しかありませんでした。ただ、猫の蘭丸と2匹のラブラドールレトリーバーを飼っていたので、3匹を保護すると猫4匹、大型犬2匹の大所帯になります。みんなの一生に責任を持てるのか、とても不安でした」
そのままどうしたらいいのか分からず春になってしまった。やがて黒田さんは、窓辺の近くで小春ちゃんが雄猫と交尾しているのを見たそうだ。
「まだ1歳にもなっていないはずだったので慌てました。同時に保護するしかないと覚悟しました」
2018年5月、黒田さんは地元の保護団体に協力してもらい、兄妹3匹を捕獲器で保護した。そのまま事前に連絡していた動物病院に連れて行き不妊手術をしたという。
「団体では里親さんも募集してくれたのですが、譲渡会に出せるように人馴れさせるのに思いのほか時間がかかり、うちで引き取ることにしたのです」
■少しずつ心を開いてくれる喜び
一気に大所帯になった黒田家。4匹の猫は性格がそれぞれ違い、楽しく新鮮だったという。
「母猫から受け継いだ用心深さからか、もう子猫ではなかったし、人馴れには想像以上に時間がかかり、忍耐が必要でした。途方に暮れることもありました。それでも先住犬や猫同士がお互いを尊重しながら無理をせずに距離を縮めていく様子を見ていると、人間の価値観に縛られず見守っていこうと思いました」
小春ちゃんは三毛猫らしく勝ち気で、おやつをねだる時は愛らしくなる。ツンデレっぷりに翻弄されているそうだ。しずくちゃんは、ちょっとしたことでも大袈裟に騒いだり、一人運動会を開催したりするおてんば娘。虎太朗くんは、少し怖がりで、みんなの中で一番控えめで物静か。ただ、一番の食いしん坊で、ご飯を催促する時は大声が出る。
保護してから1年ほど経つと撫でさせてくれるようになり、側を歩いても逃げなくなった。まだ抱っこはできないが、薄皮を剥ぐように少しずつ心を開いてくれることは大きな喜びなんだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)
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