「広くゴツゴツの岩場、たっぷり流れ落ちる滝は小川へ注ぎ、やがて北極海へ」…に見えなくもないゴージャスな環境で暮らす動物園のホッキョクグマ。特に目立つのがドンっとそびえ立つ「雪山」です。もちろん人工雪ですが、毎年、夏でもどうにか「イベントでもらった?」レベルでキープされていたのに、この春先の一時期、雪が一ミリも降らなくなり、雪山はすっかりとけて消えてしまいました。ちょうど気温が上がり始めたころで、ホッキョクグマの体調への気遣いや、「地球温暖化だから??」と、来園者から心配の声も。数週間後に再び雪は降り出し、積もりはじめたものの、この先、大丈夫なのでしょうか。雪山が消えた原因を探ると、世界中を揺るがし続けるコロナ禍の影響がありました。
神戸市立王子動物園のホッキョクグマ、メスの「ミユキ」。大阪・天王寺動物園生まれの31歳で、国内飼育の中で最高齢。人工降雪機は2012年に設置されました。おやつタイムには、雪の中に隠されたエサをクンクンと探しあて、大きな前脚で丁寧に掘り出してはモグモグ。プールイン後には雪山で転がり体をスリスリ。同園発行のフリーペーパー最新号ではちょうどミユキ特集が組まれ、真っ白ムチムチ、隠しきれないお上品さから「灘の貴婦人と呼ばれることも」と紹介。長寿の秘訣を「人工降雪機で作る充実した生活環境」と思いっきり自慢したところでした。雪山消滅の裏事情を同園の設備担当である「ZIZI1号」さん(スタッフブログのペンネーム)に聞きました。
-自慢の雪山がどんどん小さくなって…
「人工雪を造る降雪機が故障してしまいまして。4月13日に仮復旧できました。ミユキの大好きな雪遊びが一時期できなくなってしまい、申し訳なかったです。ミユキのためにも早く本格復旧できるよう努めていきたいと思っています」
-仮復旧なのですか?
「そうなんです。部品の納期が10カ月以上かかると言われています。コロナ禍の影響で部品が入らないということで、今回は代わりの部品を調達してもらい、復旧させることができました。代替部品ではありますが、通常の造雪能力と変わりありません」
-雪を造るシステムは?
「『板氷』を造って、それを砕いてブロワーで噴き出しています」
-巨大製氷機ですね!日中はずっと動いている?
「降雪機は通常、朝7時から夕方の4時までタイマーで動かしていて、1日最大5トン造雪することができます。エラーで止まってしまうこともあり、お客さまから問い合わせをいただくこともあります」
サクラ満開の時期を中心に2~3週間ほど雪山が消えていたので、同園の春の風物詩と名高い「サクラと雪とホッキョクグマの競艶」は来年のお楽しみに。ミユキに魅了され足繁く通うファンのひとりは、「後ろの岩場への足場にもなっているので、雪山がなくて困っているみたいで心配でした。ふかふかの雪にスリスリするモフモフは本当に気高く美しいんです!」と雪山復活への感謝を熱く語ってくれました。
しかし、復活したものの「仮」と言われると心配になってしまいます。人工降雪機を設置、メンテナンスを担う「前川製作所㈱」の神戸営業所にも聞いてみると、「ホッキョクグマのために早く直してあげたかった」と担当者。「日本の製造業は今、コロナ禍や、ロシアのウクライナ侵攻などさまざまな世界情勢の影響を受けています。日本で製造するものでも、海外からの材料が入ってこないのです。今回は、氷を砕いて噴き出させる部分の部品が入らないため代替品での仮復旧になりましたが、降雪機の能力には遜色ありません。ご安心ください!」と話してくれました。
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)
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