日本子ども虐待防止学会によれば「子どもの受忍限度を超えて勉強させたり、行きすぎた習い事をさせること」を「教育虐待」と定義づけています。母親の中には子どもの気持ちを無視して、無理やり過度の勉強や習い事をさせたり、精神的にも肉体的にも子どもを追い込んだりする人もいるようで、「教育虐待ママ」とも呼ばれているようです。マリさん(30代・主婦)は、ママ友の一人が「教育虐待ママ」になってしまったことがあり、大変困惑したそうです。
--ママ友が教育虐待をしているのではないかと気づいたきっかけはなんですか?
教育虐待をしているのではないかと気になったママ友は、子ども同士が同級生(小学1年生)で保育園のころからお付き合いをしていたAさんです。保育園のころは話しやすい気さくなお母さんという印象で、お子さんは笑顔がとてもかわいく親しみやすい親子でした。
しかし小学校に上がってから急にAさんの様子が変わってしまいました。「娘のクラスはバカばっかり」「バカと遊ばせたくない」と、よく「バカ」という単語を口にするようになりました。
Aさんのお子さんは塾を掛け持ちし、遊ぶ暇がないほど習い事で1週間が埋め尽くされていて、Aさんは「塾や習い事に行かせない親が信じられない」とも話していました。私はそのころからAさんに異変を感じるようになりました。
--具体的にはどのような異変がありましたか?
Aさんからは毎日LINEで動画が送られてきました。子どもの勉強する様子や先取り学習の様子、英語を読み書きする様子などが届きました。同時に「理解力がないからイライラして怒鳴ってしまう」「塾の宿題が多すぎて終わらないから腹立つ」「夜遅くまでやらせたけど塾の宿題が間に合わない」「また明日の朝学校行く前に勉強させるわ」などAさん自身がストレスで苦しんでいるかのようなメッセージも添えられていました。
--お子さんには変わりはありませんでしたか?
お子さんの様子も以前とは変わってしまい、顔を会わせて話しかけても表情が硬く笑わなくなっていました。昔のかわいらしい笑顔は消えて、子どもらしさもなくなっていました。
Aさんからはお子さんについて「愛想なくてごめん。うちの子冷めてるんだよね」「普段から私に絶対に逆らわない子だから、手がかからなくて育児はラクだよ」といったLINEが届いたこともありました。いつも一緒にいるからこそ異変に気づきにくいのかも…と、小さいころから知っているだけにとても悲しい気持ちになりました。
Aさんの言動は激しさを増すばかりで、「今の時代勉強ができないなんてやばいから」「うちの子英検4級受けるけど、英語できないとかバカ」「娘のクラスは中学受験を考えていないバカな親しかいない」「担任もバカ」といったことまで言うようになり、挙句の果てに「娘は医者を目指してるから」といって突如学力の高い学区に転校してしまいました。それっきりAさんとは会うことがなくなり、スマホの連絡先も削除したのでやり取りは途絶えました。
◇ ◇
高学歴で経済的・社会的地位の高い両親が教育虐待をすることも多いですが、低学歴の親が自身の学歴コンプレックスから、子どもに対して過酷な勉強や習い事をさせるという場合もあるようです。
マリさんによると、Aさんはよく学歴がないことや不幸な生い立ちを話していたのですが、「いつもつらい過去を恨んでいるように見えた」そうです。「不幸な生い立ちを経験したから、娘には同じ思いをさせたくない…と、ひとり親ながら必死で頑張っていました。過度な教育はAさんがお子さんの将来を案ずる思いが故のことなのかもしれません」とマリさんは振り返っていました。
ただ、我が子を愛するならば過度な教育やしつけはほどほどにし、子どもの可能性を信じ、できないことを責めるのではなく、できたことを認めてあげることです。マリさんはAさんの様子を見ていて、「世間体や見栄を捨て、ありのままを愛してあげることができたら、子どもともっと良好な関係が築けるようになるのでは」とも感じていたそうです。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)
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