2016年M-1グランプリ王者の銀シャリ。ツッコミの橋本直は「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)の探偵としてもおなじみ。
「橋本」は名字ランキング25位というメジャーな名字で、全国に広く分布しており、文字通り「橋のたもと」に由来する名字だ。「橋のたもと」というと、どこにでもある、ごく当たり前の場所のようにも思えるが、それは現代人の感覚だ。
今では小さな川にも普通に橋が架かっているが、江戸時代では江戸・京・大坂といった大都市を除くと、橋の架かっている川は少なく、川は渡し船で渡るものだった。さらに昔の、名字の多くが生まれた中世では橋そのものが珍しく、橋はランドマーク的な存在だったと考えられる。
そのため「橋」のつく名字は多く、ランキング第3位の「高橋」以下、「橋本」「大橋」「石橋」「橋口」「三橋」「橋爪」「板橋」「本橋」「松橋」と、ベスト1000に10個も入っている。
また橋が架かっている川では、川を渡るために多くの人が橋を訪れた。そのため、橋のたもとは人の集まる場所で、「橋本」とは当時の一等地だったといえる。
一方、橋本直とコンビを組んでいるのが大阪出身の鰻(うなぎ)和弘だ。
鰻和弘の「鰻」という名字は芸名ではなく本名。全国に十数世帯しかない珍しい名字で、ルーツは鹿児島県にある。薩摩半島の先端に近い指宿市の山川町に鰻池という湖がある。直径1.3キロ、面積1.2平方キロという小さな湖で、火口に水が溜まってできた火口湖である。
かつて、池の水を抜いて水田にするために堤の一部を壊したところ、水中から大鰻が現れて水口に横たわって水の流出を防いだことから「鰻池」と呼ばれるようになり、以後池で鰻を取ることを禁止したという。そして、池の北東部にある村も「鰻村」と称し、村民は「鰻」を名字にしたと伝える。そのため、古くは「鰻」さんはかなりの数があったが、戦後は他の名字に変える人が続出し、現在では珍しい名字となってしまった。
鰻池近くの池田湖は、現在でもオオウナギが生息していることで知られる。オオウナギは紀伊半島や四国・九州などの暖かい地方に生息するウナギで、通常の鰻が大きくなったものではなく、別の種類。大きいものでは2メートル、20キロにもなるという。
◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。
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