目指すはバイオレンスアクション版『男はつらいよ』だ。8月26日公開の『グリーンバレット』は、昨年インディペンデント映画ながらも異例のロングランを記録した『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)の阪元裕吾監督待望の新作映画。『ベイビー~』の大ヒットを受けて緊急公開された自主制作映画『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』(2021年)の続編で、ミスマガジン2021の6名が見習い殺し屋を演じる。
■阪元監督とは大学時代からの付き合い
見習い女子6人に殺しのいろはを教える主人公の国岡を演じるのは、阪元監督作品の“顔”ともいえる俳優の伊能昌幸(26)。「前作は阪元が僕にカメラを向けて2人で自由気ままに撮影をしている感覚でしたが、今回は演じる僕らの前にスタッフがずらっといる。そこで自分たちの環境の変化を実感しました」と作品の置かれた状況の変化に驚いている。
阪元監督とは17歳の頃からの付き合い。京都造形芸術大学映画学科制作コースの同期として出会い、エンタメ志向の強いジャンル映画好きという共通項で急接近した。「ほかの生徒たちが話題の邦画や名作映画の話をする中で、僕らは韓国映画やバイオレンス映画、ブロックバスター系アクション映画の話で大盛り上がり。一緒にバイオレンス映画や殺し屋系映画を作ったりして嗜好も一致していました」と似た者同士だった。
■俳優志望ではないから異質
制作志望だった伊能に俳優の道を歩かせたのも阪元監督。卒業後に京都でフリーター生活を送っていた伊能に声をかけて2018年に撮影したのが映画『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』。芝居を感じさせない主演の伊能の朴訥とした様子が、国岡という日常に潜む殺し屋キャラにリアリティを与えている。
「そもそも俳優志望ではないやつが演じているから異質に見えるだけ」と謙遜する伊能だが「バイトの事しか考えることのなかった時期だったので、撮影期間はとにかく楽しかった。主演として演じるということよりも、みんなでものを作るというモチベーションを感じるのが気持ち良かった」。
その気持ち良さをさらに求めるべく単身上京。阪元監督作にレギュラー出演をしながら、本格的に俳優活動をスタートさせた。そして訪れた、友人・阪元監督の大ブレイク。『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』も3年越しに全国公開され、伊能にもスポットが当たる。
「嬉しかったのはほかの現場で『国岡』が話題に上ったことです。普段ジャンル映画を観ないような俳優からも『いつ公開ですか?』と聞かれたりして。僕のことを国岡だと認識してくれる人も増えました」と反響を実感。
■洋画好きが作った邦画
制作規模もキャストもグレードアップした続編『グリーンバレット』は、殺し屋見習い女子6人を相手に訓練合宿を開いた国岡(伊能)に阪元監督が密着するという設定のフェイクドキュメンタリー青春ムービー。ときにぶつかり、ときに友情をはぐくむ女子たちのもとに、狂暴な人殺し集団が襲来する。
「自分で言うのもなんですが、ただただ面白くなりました。接近戦のナイフバトルや肉弾戦などアクションの質も『ベイビーわるきゅーれ』に近い。アクション映画好きはもちろんのこと、コミック的な楽しみ方もできる作品。洋画好きが作った邦画です」とアピールする。
■目指すはバイオレンスアクション版『男はつらいよ』
国岡の強みは、伊能や阪元監督が好きなジャンル映画にいかようにもはめ込めるキャラクター性があること。「シリーズものとして国岡を育てたいという思いが僕らにはあるので、60歳くらいまでは演じ続けたい。年老いて銃を抜くスピードが落ちたり、体にガタがきたりして、最強だった国岡が最強ではなくなったときにどんな物語が生まれるのか?バイオレンスアクション版『男はつらいよ』を目指します」と意気込む。
長寿化のためには伊能の俳優としてのブレイクも必須だが「日本ではどんな役でもできるカメレオン俳優が好まれていますが、僕はスティーヴン・セガールやジェイソン・ステイサムのような観客の期待を裏切らないイメージ先行型の俳優を理想としています。夢は国岡として『スーサイド・スクワッド』に出演すること」と進むべき方向性は明確。“異能”俳優の世界進出も夢じゃない!?
(まいどなニュース特約・石井 隼人)
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