この世にどうにもならぬもの。あれにこれに、この帳簿の赤字…。消したらダメだけど、消せるものなら消してしまいたい??そんな叫びを形にしたペンが、ひそかに話題を呼んでいる。作ったのは、長崎県にある島原鉄道。コロナ禍での厳しい経営状況をネタに2020年11月に発売し、「振り切ってる!」と度肝を抜いた3色全部赤インクの「同色赤字ペン」をさらに進化(?)させ、消せてしまうフリクションペンにしてしまった。消して消して消してるうちに、いつかきっと本当の赤字も消える…はず!?
島原鉄道は、諫早と島原半島の人々の足として鉄道、バス、フェリー、タクシーなどを運行する地方鉄道。だが、人口減少と少子高齢化で慢性的な赤字に苦しむ中、さらにコロナ禍が襲った。それでも「赤字会社にしかできない面白い商品を」と2020年11月に3色ボールペンの3色が全て赤色…という、赤字しか書けない「同色赤字ペン」を発売したところ、その自虐っぷりがウケて1週間で5千本が即完売し、再販されるまでの大ヒットになった。
その約2カ月後、まさかの丸かぶりで「赤字ペン」を発売したのが島原から約1000㎞離れた千葉県を走る「元祖自虐」銚子電鉄。同電鉄は「上り銚子行き」のきっぷが「上り調子」につながるとして合格祈願に買い求める人がいるといい、受験生のための暗記ペンと自虐をひっかけて赤字ペンを発売した。普通ならパクりでは?という疑いが生まれそうなところだが、そこは同じように経営に苦しむ地方鉄道同士、固い“絆”が生まれたという。
というわけで、今回の「赤字ペン第2弾」は、銚子電鉄の代名詞でもある「まずい棒」などを考案した寺井広樹さんが監修。「世の中にはない面白いものを作りたい」と、文具メーカー大手「パイロットコーポレーション」の担当者も驚く、世界初、3色全て赤色のフリクションペンを作り上げた。しかも、同色赤字ペンがそれぞれ太さが違ったのと違い、どこを選んでも0.38㎜の超極細。「島原鉄道の経営状況を表現しました」(寺井さん)のだという。
繊細な超細字ながら、ひっかかることもなく、電車のようになめらかに紙の上を滑る書き心地が魅力のパイロットのフリクションペン。島原鉄道のトレードマークの黄色い電車のクリップもあしらわれ、思う存分書いてもらって、どんどん消して。3色すべて赤色で同じ太さだから、「赤字」が出なくなる心配も当分なし…って本当にいいのかどうか、もう泣き笑いしかないが、「消せる“赤字”から消していき、黒字を目指したい」と島原鉄道。パッケージには「赤字が消える!」の文字の下に控えめに「当社の目標」と添えた。
23日の発売後、Twitterでは「消える赤字ってとこが良いですね…」「なかなかシュール」「新しくなったらしいけど黒字ペンじゃない」などと、かなりひそかに話題を呼んでいる新商品。ぜひその書き心地を試してみて、島原半島を走る黄色い電車や社員さんたちにエールを送りませんか?
諫早、元諫早、多比良、島原、島原船津の各駅のほか、諫早ターミナルホテルやしまてつショップ(Yahoo!JAPANオンラインショップ)で1本800円で販売。
(まいどなニュース/神戸新聞・広畑 千春)
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