「Q1.岐阜県内の河川で、安全に泳げる場所はありますか?」
「A1.ありません。河川は自然そのものであり、安全は一切保証されていません」
岐阜県河川課がネット上で公開している「水難事故等に関するQ&A」が、「どうにかして川で遊びたい質問者」と、「なんとしてでも水難事故を防止したい担当者」の息詰まる攻防戦のようだと話題になっている。
「注意看板が立っていない河川敷周辺なら泳いでも安全ですか?」「泳がなければ、少しくらいなら川の中に入っても大丈夫ですか?」「これまで事故が起きていない場所なら安全ですよね?」と抜け穴を探して畳み掛けられる質問数は、実に60にも及ぶ。
その全てに「安全な川はありません」「川を甘く見ると重大な事故につながります」「ライフジャケットが絶対に必要です」とひたすら注意喚起を繰り返す担当者のブレない回答が注目を集め、SNSなどでは「担当者さんの日頃の苦労が伝わってくる」「自然をなめるなってことか」などのコメントが相次ぐ大反響に。岐阜県河川課の担当者に取材した。
■毎年発生する水難事故をとにかくなくしたい
-すさまじい熱量と執念が感じられるQ&Aです。
担当者「岐阜県では毎年、河川での水難事故が発生しています。特に長良川や板取川は水遊び、鮎釣りのスポットとして人気が高く、県外から訪れる人も多いのですが、事故で亡くなる人が跡を絶ちません。川の危険性を知っていただき、とにかく事故をなくしたいという思いから、2020年度に公開しました」
-事故は今年も起きているのですか?
「はい、残念ながら今年も起きています」
■ライフジャケットが絶対に必要です!!!
画面を何回スクロールしても終わりが見えないほど長い長いQ&Aで特に目を引くのは、川遊びをする際には絶対にライフジャケットを着用するよう呼び掛ける、担当者の祈りにも似たアドバイスだ。
「Q18.高校の仲間たちと長良川の河川敷に行き、バーベキューをする予定です。まだ5月なので泳ぐつもりはありません。それでも、ライフジャケットは必要ですか?」
「Q19.息子が5歳になったので、今度の休みに、家族で、板取川の河川敷でデイキャンプをする予定です。川の危険性は知っているので川には絶対に入らないと約束しています。それでもライフジャケットは必要ですか?」
→「A18./A19.ライフジャケットが絶対に必要です」
「Q24.川で少し子どもと水遊びするだけなのに、ライフジャケットを着用するのは大げさではないですか?」
→「A24.ライフジャケットを着用することは、大げさどころか、最低限の水難事故リスク対策です」
啓発の甲斐あってか、ネットでは「ライフジャケット着用が新たなスタンダードだという気がしてきた」というコメントもちらほら。担当者は「河川課に『Q&Aよかったです』というメールが届いたり、Twitterなどで好意的な反響をたくさんいただいたりもしています」と手応えを感じているそうだ。
■「今、川に流されています。どうすれば?」
夏休みは終わったが、キャンプや釣りのシーズンはまだまだ続く。担当者は「川は急に深くなる場所もあり、とても危険。釣りをしながら川を横断する人がよくいらっしゃいますが、流れにさらわれて溺れ死ぬ危険性があります。絶対にやめてください」と強く釘を刺す。
-ところで、「川沿いを散歩していたら帽子が風に飛ばされて川に落ちてしまったので、手を伸ばして帽子をとろうとしたら、足を滑らせて川に落ちてしまいました。今、体ごと流されています。どうすればいいですか?」みたいな妙な質問もありましたね。
担当者「河川のリスクに対する注意喚起ももちろんですが、たくさんの人に楽しんで読んでいただくために、ちょっとユーモアも交えてみました」
蛇足ながら、この「川に流されているけど、どうすればいいですか?」に対する答えは「帽子のことはあきらめて、背浮きをして呼吸を確保してください」である。このQ&Aが、1人でも多くの命を救うことを願うばかりだ。
(まいどなニュース・黒川 裕生)
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