見上げるような高さの本の写真がTwitterに投稿され、注目を集めました。高さは実に40cm超えです!「先日ご依頼頂いた製本直しですが久しぶりに背厚が40cmを超える製本でした」という文言とともに画像をツイートしたのは「小林製本株式会社」(東京・中央区)のアカウント(@kobayashiseihon)です。同社の担当者に詳しい話をお聞きしました。
天に向かってそびえるような堂々たる姿に「これがバベルか」とつぶやく人、「本とは…」「図書館でもこれは見たことがない。」と首をかしげる人たち、さらに「20XX年、京極夏彦氏の新刊」と未来に思いを馳せる人の声などが届きました。さらに、「凄いですね。プロは違います」とその技術力を讃える人も。しかし何といっても多かったのは「そもそもなぜ分冊しなかったのか」という疑問の声です。確かに気になるところですよね…!
この「巨大製本」を投稿した「小林製本株式会社」は昭和32年設立、令和4年で65周年を迎えた老舗の製本会社です。自社工場内での加工を中心に創業以来、顧客の要望や提案にきめ細やかな対応をしてきました。まずは、話題になった投稿に写る本はどういった目的で作られた本なのか、そしてなぜ一冊にまとめられたのかを同社Twitter担当者に教えてもらいました。
■製本は「契約書製本」、工事の契約書や図面などを製本して役所へ提出するための物
--40cmを超える背厚の本とは、初めて拝見しました。
今回のツイートで紹介した製本は「契約書製本」と呼ばれる物で工事の契約書や図面などを製本して役所へ提出するための物です。最近では役所からの指示で「~cm以上は分冊する」などの指示がある場合がほとんどなのですが、以前はそういった指示も無く、分冊すると予算も余計にかかるので今回の様な背厚の大きい製本がよくあったそうです。
--そうだったのですね。こちらは「製本直し」を引き受けたそうですが、具体的にはどのような作業を行うのですか。
現在、このような製本が行われていた時代の書類・図面をデータ化するための
製本バラシ
↓
スキャン
↓
製本直し
というご依頼がここ数年でかなり増えてきています。これからも今回のような製本は増えてくると思います。
--やはり人の手で一枚、一枚作業なさるのですか?
今回の製本直しに関してはマクラ(図面の厚みを揃える物)の作成時に断裁機や穴アケ機を使用しましたが、それ以外はほぼ手作業です。苦労した点はやはりあれだけの枚数の図面になるとかなりの重量になるので図面を揃えるだけでも重労働でした。ただ、かかった時間そのものは1時間ほどです。図面状態も良かったのでそれほど時間はかかりませんでした。
酷い状態の時などは綴じる部分が全て無くなっていて全ての図面に紙を貼り足して製本することもありました。そういった場合には作業時間も3時間、4時間とかかってしまいます。
--「製本」という技術の奥深さに驚いた人たちからの声が多数届いています。
多くの方に拡散していただいて、それだけでも嬉しかったのですが、やはり技術的な部分を褒めていただいたコメントは特に嬉しかったです。
◇ ◇
さらに「小林製本では今回紹介していただいた契約書製本などの工事関係の製本が中心なのですが個人のお客様からの様々なご依頼も承っています。過去には『退職される方への記念本を作りたい』『趣味で書きためた俳句を本にしたい』『グループを卒業するアイドルにプレゼントする本を作りたい』などのご依頼がありました」と、「製本」という仕事の多様性と魅力について話す同担当者。
また「お客様のお話を伺いながらイメージをカタチにしていく作業は凄く大変で難しいのですが、仕上がった本にご満足いただけた時は本当に嬉しく思います」(同担当者)とそのやりがいについても語ってくれました。
同社のTwitterアカウントでは、製本に使う機械や作業の様子を映した動画などが、日々投稿されています。今回の投稿を見て、「製本」という仕事に興味を覚えた人はぜひ見てみてくださいね。
(まいどなニュース特約・山本 明)
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