2019年のある日のこと。愛護センターから、保護犬の譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)に引き出された一頭の犬がいました。
その名はイヴくん。詳しい出自はわかりませんが、噛み癖があり、気性が荒い性格の彼は、前の飼い主から飼育放棄されたのではないかと思われます。
イヴくんの噛み癖は激しいもので、人だけでなく他の犬も対象のようです。そのため、すぐにシェルターに入れることはせず、しばらく検疫犬舎の中で様子を見ることにしました。
■散歩も餌も大好きなイヴくん、飼育放棄の疑いが…
ピースワンコに来た当初のイヴくんは 噛み癖が直らない一方、お散歩好きの元気な犬でした。餌を前にすれば素直にお座りし、餌をゲットすると、誰にも取られないよう隅っこのほうに持ち帰り、美味しそうに食べるお茶目な一面もありました。保護犬は大まかに「野犬」「捨て犬」の2パターンがいますが、人間から餌をもらえることを知っていることから、イヴくんはやはり飼育放棄された犬なのではないかと思われます。
■お世話は、スタッフ2人がかりで約30分の1日2回
スタッフの愛情を受けたイヴくんは、噛み癖こそ直らないものの、少しずつ心を開くようになりました。しかし、この気持ちの行き来と反比例するかのように、イヴくんの肉体は日に日に老化がすすみ、椎間板ヘルニアを患ってしまいます。さらに首から下は全く動けなくなり、1日中寝たきりになり、床ずれのせいで体中穴だらけになっています。
噛み癖があることから接するのも大変ですが、それでもスタッフは与えられた命を守ろうと懸命にケアを続けます。体が動かないイヴくんをスタッフが抱きかかえながら移動させようとすると、イヴくんはまたガブッ。それでもスタッフは笑顔で接し、「痛いね~」「よし、イヴちゃん帰ってよーし!」と明るくケアし続けます。
床ズレが起きている傷口などへの手当ては2人がかりで約30分。これを日に2回行います。とても大変な作業ですが、スタッフによると、その活動の源は他でもない多くの保護犬たちの「その日1日を精一杯生きる姿」だと言います。
しかし、この数日後イヴ君はお世話を続けているスタッフたちに見届けられながら、静かに天国へ旅立っていきました。
■譲渡からあぶれてしまった保護犬を、今日もケアし続ける人がいる
ピースワンコには、様々な環境のもと引き取られた保護犬がいます。こういった保護犬のなかには、さまざまなトレーニングをしても、新しい里親に譲渡することができない犬もいます。「気性難である」「老犬である」「病気がある」といった理由によるものです。
今回ご紹介したイヴくんもそのうちの1匹ですが、譲渡が難しい保護犬であっても、その命を守り抜くため施設内で懸命にお世話をし続けています。「保護犬の譲渡活動」という取り組みを通して、最終的には「犬猫の殺処分ゼロ」を目指しているからです。
「一度救われた命を1秒でも長く生きて欲しい」と願うスタッフの思い・懸命な活動によって譲渡が難しいワンコの命も今も守られ続けています。
「保護犬」の話では、悲惨な状況から救われ新しい里親さんの元で第二の犬生を過ごす……というハッピーエンドなものに注目しがちですが、そういったケースからあぶれてしまうワンコも確実にいます。しかし、それでも命を守り続ける人たちがおり、今日も懸命にケアし続けています。このことをより多くの人に知ってもらい、何かの行動につなげていただくことを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
あわせて読みたい
話題
-
赤ちゃんのホクロ→悪性腫瘍では… すやすや→突然死するのでは… 強迫性障害と20年、母になり心配事は2倍 当事者漫画家が描くママの日常
-
主張強めのブランドロゴは逆効果 異性の外見の評価ポイント【Z世代女性1004人に聞いた】
-
うずくまった白い希少動物 瀕死で暖かい日だまりの中…野生動物の穏やかな最期
-
マリオ3に夢中の85歳女性 レトロゲームをデイサービスに導入「うちのばあちゃんもテトリスしてました」
-
2位は「伊藤かずえ」さん、1位は? 愛車を長く大切に乗り続けていそうな有名人ランキング
-
マチアプで出会った45歳サブカルイケおじ、なぜ独身? 答えは自分の中にあった【漫画】
-
「最後の晩餐、一緒にどう?」隕石落下まで11時間 会いたかった君と過ごす夜の屋上【漫画】
-
82歳母が骨折して入院…知的障害の48歳弟の生活は? 仕事と介護を抱える姉が直面した「親なきあと」問題 グループホーム費用の目安は【社会福祉士解説】
-
メイドカフェのバイト→地下アイドルデビューも3度の解散→セクシー女優目指すも面接で…「整形だけが唯一の希望」【元地下アイドルに取材】
-
結婚8年「子どもがいないこと、どう思う?」嫁が義母に率直質問 「二人が決めたことを応援したい」「あなたの幸せが一番大事」胸いっぱいの言葉に反響