2007年のある日のこと、1頭の子犬が公園に置き去りにされていました。この子犬を見つけた高校生はすぐに保護。動物病院に連れていき診てもらいましたが、獣医師によれば健康な状態だと言います。また、獣医師の見立てでは生後3ヶ月くらいとのことで「小さなケージに入れていることがかわいそうなので、早く里親さんが見つかるといいと思う」と思っていたそうです。
残念なことに高校生の家では犬を飼うことができなかったため、SNSを通じて「里親探し」をすることにしました。
■かつて飼っていた愛犬が、決断に背中を押してくれた?
この里親募集の投稿を見るなり、すぐに高校生に連絡を取り、その子犬に会いに行った方がいました。この方は、その約7ヶ月前に13年間一緒に過ごした「ペロ」というワンコを失っており、悲しさと寂しさから、この時点ではまだかつての家族「ペロ」を思い、なかなか新しい犬を飼うという決断には至っていませんでした。
そのような思いの中で会った子犬は、里親さんを前に笑っているかのような表情で全力で向かってきたと言います。里親さんの匂いを嗅ぎまくり、膝によじのぼってきて、とにかく嬉しそうです。さらに驚いたことに、この高校生はこの子犬の名を仮名で「ペロ」と呼んでいると言います。
前述の通り、「ペロ」は、この方がかつて飼っていた犬と同じ名前。かつての「ペロ」が「もう新しいワンコを迎え入れてもいいよ」と伝えてくれているのだと思い、飼うことを決意。改めて名前を「CoCo」とし、そのまま車で引き取ることにしました。
■生後3ヶ月近くになるまで誰かに飼われたワンコ説
初対面こそ嬉しそうにしていたCoCoちゃんですが、お世話になった高校生と離れることが怖かったのか、車の中では震えていました。里親さんはこのとき、少し心が痛くなる思いをしたそうです。
家に着き、家の中に入れるとCoCoちゃんは家の中にある牛乳パックを見て、教えてもいないのにお座りをし、お手をする仕草をしました。また、音楽が流れると、首を傾けて耳を集中させることもあり、どうも音楽にも慣れているようです。
このことから里親さんは、CoCoちゃんが3ヶ月近くになるまで、どこかのお家で飼われていたワンコなのではないかと思いました。
里親さん家族の優しい対応に、CoCoちゃんはすぐにリラックスし、やがて暖かい毛布の上で眠ってしまいました。寝ているCoCoちゃんの表情を、里親さんはいつまでも見つめていたくなりました。
■朝早く起き、里親さんの起床を待つCoCoちゃん。そのお目当ては!?
CoCoちゃんはやがて里親さん家族に馴染み、朝は必ず里親さんよりも早く起きました。里親さんが起きて目が合うと、すぐに「遊ぼう!」と飛びかかってくるというヤンチャぶりも見せてくれるようになりました。
また、知らない人に対してはよく吠えて、里親さんに来客を教えてくれるような番犬ぶりも見せてくれるCoCoちゃんですが、かといって誰かに噛み付いたりするようなことはなく、また、お手やおすわり以外にも数多くのマナーを習得し、聞き分けも良いワンコでした。
最初に出会った2007年以来、CoCoちゃんは里親さんの家族として、みんなを幸せにするような良い子でした。その後、里親さんの体に深刻な病気が見つかり、長い時間気持ちが塞ぎ込んでしまうこともありましたが、そんなときもCoCoちゃんがいつもそばに寄り添ってくれました。
こういった温かい日々の様子を綴ったエピソードが、ブログ「CoCoは元保護犬 そして愛する家族」で、楽しく読むことができます。
しかし、残念なことに3月にCoCoちゃんは他界。15年の命を全うしました。
里親さんは「今も心が癒えない」と言いますが、同時に「CoCoちゃんがくれた豊かな時間をこれからも大切にしていきたい」とも。きっと天国のCoCoちゃんも最初に保護してくれた高校生との出会い、そして里親さんと過ごした日々に、お礼を言っているのではないでしょうか。
共に過ごしたCoCoちゃんとの温かい時間、かけがえないのない思い出は、里親さんの心に、いつまでも生き続けるように思いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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