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被災者アンケート

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アンケート全体の分析


神大工学部助教授 塩崎賢明氏に聞く

苦しむ人が細分化 時間は解決しない
 被災地では以前から「二極分化」が進んでいたが、震災から三年を迎えても是正されず、不況でいっそう深刻になっている。
 一〇〇%近くまで復旧が進んだ公共関係の施設と、遅れる住宅・生活の復興という分化があるが、サラリーマンと自営業者、住宅を確保できた人とできていない人など、さらに苦しい人が細分化され、その状況から脱出できないままでいることがアンケート結果から浮かび上がる。
 復興状況について「遅れている」「取り残されている部分が少なくない」の回答が四分の三を占めたのは非常に厳しい結果で、住民の側から「このままでは駄目だ」という見方がはっきり出たことになる。

 住宅関係では、回答者の約半分が持ち家を確保できているが、そのうち四割近くは蓄えがなくなったり、ローン負担に苦しんでいる。一方、住宅が確保できていない人は、公営住宅の入居希望が非常に多いが、全員が公営住宅に入居できるわけではない。
 震災前に借家住まいだった人たちに低家賃の住宅をどう提供するかが大きな問題。鉄筋コンクリートで中高層の公営住宅だけでいいのだろうか。家賃補助などによって、規模は小さくても以前の木造賃貸住宅並みの家賃で入居できる民間賃貸を提供する仕組みがいるのではないか。

 また、自営業者の中でいったんは仕事を再開しながら休業、廃業に追い込まれた人が少なくないという結果を深刻に受け止めたい。復興は時間がたてばよくなるはずのものと考えられていたが、経済状況から上向きにならない。
 結局、震災四年目に向けて、生活再建に直接に効果のある復興策がいるということだろう。具体的には中ぶらりんになっている公的支援策に決着をつけることや景気対策など。自治体の対応では限界があり、国の施策にかかっている。(談)

1998/1/14

 

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